Platform as a Service(PaaS)は、クラウドの進化における次のステージとしてもてはやされており、企業は自らが抱える開発者の育成と、足回りの強化、得意分野の拡大を目指して模索するとともに、ミドルウェア層とデータベース層の抽象化(そしておそらくはコモディティ化)に取り組んでいる。
調査会社Gartnerもこの話題を大々的に取り上げており、2015年にはPaaSが業界で爆発的に普及し、全世界で18億ドル規模の市場を形成し、その市場は2016年までに29億ドルに成長するとしている。
とは言うもののCloud Technology Partnersのバイスプレジデント兼プリンシパルアーキテクトであるMike Kavis氏は、PaaSを取り巻く状況にはあまりにも多くのギャップが手つかずのまま残っているため、少なくとも2014年中は企業市場における長足の進歩はないだろうと考えている。最近の投稿において同氏は、PaaSの普及を阻む懸念が複数あると指摘している。念のために記しておくと、Kavis氏はPaaSが1年くらいで大きく成長するという楽観的な見方もしている。PaaSベンダーはあらゆる障壁に対して、特にプライベートなPaaS採用に対して「積極的な取り組み」を展開している。しかし、PaaSの導入を阻む以下のようなハードルが、特に企業のプライベートクラウドやハイブリッドクラウドというコンテキストに存在しているのだ。
紛らわしいうたい文句
Kavis氏は「PaaSとは何かを5人に尋ねたら、5つの違った答えが返ってくる」と述べている。これらの答えは「モバイルやDevOps、ビッグデータといった特定分野から、アプリケーション開発をターゲットにした汎用目的のPaaSソリューションまで」さまざまだ。また、PaaSはパブリッククラウドやプライベートクラウド、ハイブリッドクラウドといったものを経由して調達することもできる。
成熟度の低さ
PaaSは企業による採用が遅れている。Kavis氏は「3つの異なるクラウドサービスモデル(IaaSとPaaS、SaaS)では現在のところPaaSが最も成熟が遅れている」と指摘している。
運用機能の欠如
残念ながら、PaaSは運用よりも開発に重きを置いている。Kavis氏によると、プライベート、およびハイブリッドのPaaSソリューションのほとんどは「開発者のニーズを満足させ、運用チームのニーズのほとんどを無視している」という。このように述べているのは同氏だけではない。Dell Cloud Marketplaceの最高技術責任者(CTO)であるJames Thomason氏も、PaaSはいまだ、「データの複製や移行、障害復旧、セキュリティ、ガバナンスといった、無視すると重大な結果を招きかねない運用上の新たな障壁を数多く抱えている」ため、あまりにも「NoOps」となっているという点に同意している(しかし同氏は、最終的にPaaSが2015年に爆発的に普及するため、2014年がPaaSの年となっていくのは間違いないと感じている)。