現在、農業、医療、教育などさまざまな分野で新たなITサービスが導入されている。これから数年でITによる大きな変化が予想される10の業界について解説する。
1.農業
増え続ける世界の人口を養うために、農業経営者が作物の生産量を増やす方法を見つけ出そうとする中、農業は急速にハイテクな仕事になりつつある。耕作可能な土地は減少しつつあり、気候変動は作物の収穫量を脅かしている。そのため、農業経営者たちはビッグデータ分析を使って、生産量のモニタリングや管理を向上し、理解を深めようとしている。例えば、サンフランシスコのスタートアップClimate Corporationは、作物に最適な場所や条件を判断できるように、土壌の品質や気象データを確認したり、作物の収穫量を把握するのに役立つ最新情報を農業経営者のシステムに定期的に送信したりできる、クラウドベースのサービスを提供している。
2.電力
電力会社は昔から、新しい技術をなかなか採用しない。そして、何十年も使い続けている硬直したビジネスモデルを維持している。しかし、再生可能エネルギーは先進的なバッテリ技術や、新しい蓄・送電システムを必要としているため、こうした状況を変える必要がある。マイクログリッドなどのスマートグリッド技術の発展によって状況は変わろうとしており、こうした技術は電力会社の未来にとって重要だ。送電装置やセンサ、ソフトウェアのような新しい技術がこの発展の中心となる。Navigant ResearchのシニアリサーチアナリストであるRichelle Elberg氏によれば、スマートグリッドITの市場は、2023年までに230億ドル超に成長する見込みだという。
3.電気自動車
電気自動車(EV)はハイテクのバッテリで動いているが、そのための技術はまだ十分に発展していない。バッテリそのものの最適な製法を探そうとしているスタートアップもあれば、エネルギー管理、貯蔵システム全体を前進させるために、ソフトウェアシステムを開発しているスタートアップもある。どちらも莫大な規模のITを必要とする。EVではデータ分析もまた重要だ。Fordのモデルのように、大半のEVは、企業がEV技術をより良く理解し発展させられるようにドライバーの行動を監視するセンサを備えている。
4.太陽発電
太陽発電パネルの価格が下がり、個人や企業による導入が増えるにつれて、再生可能エネルギー産業はようやくメインストリームに向かいつつある。問題は、大半の人がまだ、太陽光発電の実用性や有用性についてあまり理解していないことだ。そこでそのギャップを埋めるために、マサチューセッツ工科大学からのスピンオフであるMapDwellなど、テクノロジ分野のスタートアップが登場してきている。MapDwellは、都市部のビルや住宅で太陽発電を利用できそうな場所を示す、詳細な地図を作成している。それは膨大なデータセットと、評価ツールから構成されている。
5.3D印刷
3D印刷ほど速く未来を変化させている業界はない。それにこのテクノロジは、医療や製造、航空宇宙といった他の多くの業界にも浸透しつつある。それはITにとってどのような意味があるだろうか。まず、3Dプリンタの理解と開発、監視を中心とする、テクノロジ関連の仕事が生まれることを意味するだろう。しかし同時に、今後数年で設計まわりの新しいサービスが生まれると、ソフトウェアの開発や管理の仕事も増えるだろう。