Appleの新しい「HealthKit」テクノロジが複数の著名な病院でテストされている。テストの目的は、同テクノロジによって、遠隔地の患者を効果的に監視し、医療コストを削減することが可能かどうかを確認することだ。
Reutersの米国時間2月5日の報道によると、Reutersが調査した23の著名病院のうち、14の病院がHealthKitの試験プログラムを既に開始済み、またはそれについて協議中だという。プログラムの目的は、医師が糖尿病や高血圧などの慢性疾患患者を監視して、内科的な疾患の初期症状の有無を確認し、問題がより深刻になる前に処置を施すことが可能かどうかを確かめることだ。
最終的に、そうした監視によって、病院は再入院を減らして、コストを節約できる可能性がある、とReutersは報じた。再入院の多い病院は政府から罰金を科せられる。
2014年に発表されたAppleのHealthKitは、ユーザーの医療情報の収集と共有を行うことのできるアプリを開発者が構築するためのフレームワークだ。サードパーティーアプリから収集されたデータは、Appleの「Health」アプリ経由で遠隔地の医師や病院に送信される。Appleは、既に同様のサービスを発表済みのGoogleやサムスンと争っている。それらのサービスは現在、テスト用にロールアウトされ始めた段階なので、Appleは両社の先を行っている。しかし、ほとんどのスマートフォンには「Android」が搭載されているので、「Google Fit」サービスもテストしてみたい、と病院の多くは話している。
現在のところ、Healthアプリは「iPhone」でしか利用できない。しかし、同アプリは、4月に発売予定の「Apple Watch」の重要な要素になるだろう。Apple Watchはスマートウォッチなので、Healthアプリがユーザーの全体的な健康状態と特定の病状を常時監視できるように、ユーザーは同デバイスを一日中装着することも可能だ。
テクノロジは、急増する医療コストを削減する1つの手段とみなされてきたが、さまざまな課題もある。
医師は、こうしたテクノロジの導入によって大量の医療データを受け取ることになる可能性があるが、それらすべてを調べる作業に時間と労力、投資に見合う価値があるのかどうかを判断する必要がある。AppleとGoogle、サムスンは独自の製品とサービスを使って、保健医療市場のシェアを獲得しようとしている。しかし、すべての医療プロバイダーがそうしたテクノロジを利用できるようにするためには、共通の基準を設ける必要がある。
さらに、医療データのやりとりは安全でセキュリティが確保されるということに対し、患者と医師が信頼する必要もある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。