Sony Pictures Entertainment(SPE)は、2014年に発生した深刻なセキュリティ侵害により、思わぬ宣伝効果で莫大な金額を手にしたと思われるが、SPEの親会社であるソニーが米国時間2月4日に発表したところによると、ハッキングへの対処にかかる費用は、それに比べるとほんのわずかな金額になりそうだ。
2014年に発生したハッキングに関する対処費用は当初の見積もりより少ない額となった。
提供:Sony
ソニーの2014年度第3四半期(10-12月期)業績見通しでは、サイバー攻撃に関連する「調査および復旧費用」として、同四半期に1500万ドルの費用を計上する見込みであることが明らかになった。この発表は、ソニーがハッキングの財務的影響について初めて正式に公開した予測だ。ハッキングによってソニーは、コンピュータネットワークを数週間停止せざるを得なくなり、四半期決算の発表が遅れることになった。
2月5日には、もう1つの大きなニュースが流れた。SPEが、共同会長のAmy Pascal氏が辞任して映画プロデューサーの職務に就くと発表した。The Hollywood Reporterによると、同氏が手がける映画としては、今後予定されている「Ghostbusters」のリブート作品や「The Amazing Spider-Man」シリーズの新作があるという。
The Hollywood Reporterなどのメディアが引用した声明の中で、Pascal氏は、「私はキャリアのほぼすべてをSony Picturesで過ごしてきたし、私が我が家と呼ぶ会社を拠点として、この新たな章をスタートさせることに意欲をかきたてられている」と述べた。米CNETはSPEにコメントを求めたが、現時点で得られていない。
Pascal氏は、ハッキングとその発覚によって引き起こされた泥沼劇で渦中の人となった。
SPEが2014年11月末に発見したこのセキュリティ侵害は、当初考えられていたよりも深刻で広範にわたることが明らかになった。「#GOP」(Guardians of Peace:平和の守護者)を名乗る集団が犯行声明を出し、内部情報を入手したと述べた。ハッカーたちは、4万7000人以上の著名人、フリーランサー、ソニーの現従業員と元従業員の社会保障番号を含む個人情報を流出させた。ハッカー集団はさらに、未公開の映画に加えて、他の内部文書としてSPEの幹部同士の電子メールも流出させた。
米連邦捜査局(FBI)がこのハッカーたちを追跡したところ北朝鮮に行きついており、彼らの目的は風刺映画「The Interview」の公開阻止にあったようだ。同作品は、主演でテレビジャーナリスト役のSeth RogenとJames Francoが、北朝鮮の指導者である金正恩第一書記の暗殺を企てる米中央情報局(CIA)の計画に巻き込まれていく姿を描いている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。