IDC Japanは3月31日、SDN(Software-Defined Network)、ネットワーク機能仮想化(Network Functions Virtualization:NFV)に関する国内市場動向分析結果を発表した。SDNとNFVは、データセンター、企業ネットワーク、通信事業者のネットワークのいずれにも、コンセプトや検証段階から商用ネットワークに適用する実用期に入ったと分析している。
最も早くから市場が立ち上がったデータセンターSDNは、商用環境への導入も進み2014年には51億7800万円の市場規模になったとした。今後も概念実証(Proof of Concept:PoC)を進めてきた事業者や企業が、本格的に商用環境や本番環境に展開していき、2014~2019年の年平均成長率(CAGR)54.8%、2019年には460億1400万円に達すると予測している。
一方、現行ソリューションに対しては、仮想ネットワークだけでなく物理ネットワークも同様に制御する必要性や価格体系の面での課題も浮き彫りになったとした。成長を続けるためには、これらの課題を克服した次世代データセンターSDNの早期展開が求められていると指摘している。
企業ネットワークSDNは、ベンダーが顧客との対話を通じて、SDN技術の最適な適用箇所はどこか、そして実践を通じて得られた効果を見極めながら、より現実的なアプローチへとシフトしていると説明した。
企業ネットワークSDNの現実的な事例が明らかになる中で、企業ユーザーからはSDNが実用的なサービスと認知されるようになってきており、SDNが企業ネットワークにおける構築、運用の手段の1つとして受容されることで、2014~2019年のCAGRは55.0%に達すると予測した。
通信事業者向け市場は、2015年から本格的に立ち上がり、2015会計年度から国内通信事業者による国内通信事業者によるパケットコア仮想化(Virtualized Evolved Packet Core:vEPC)の商用サービスへの導入が予定されており、NFVの商用化への道程が示されいるという。
新たに導入されるネットワークやサービスインフラに、SDN技術やアーキテクチャが何らかの形で組み込まれるとし、2019年には、通信事業者向けのSDN市場が553億6500万円、NFV市場が753億9900万円に達すると予測した。
IDCは、通信事業者ネットワークにおけるNFV化の流れに対して、通信事業者向けネットワーク機器ベンダーは、通信事業者のNFV化の成功と、それに伴う設備投資費用(Capital Expenditure:CAPEX)と運用費用(Operating Expense:OPEX)削減、サービス競争力向上の実現に積極的に貢献すべきであると指摘している。
2012~2019年 国内データセンター、企業ネットワークSDN市場 売上額予測(IDC提供)