ノークリサーチは3月31日、1月に実施した「ストレスチェック義務化への対応」に関する調査の分析結果を発表した。調査は年商500億円未満の国内中堅・中小企業を対象としたもので、詳細な結果は「2015年版 中堅・中小企業の法制度対応(マイナンバー/ストレスチェック)に関する動向レポート」として発行されている。
ストレスチェック義務化の認知状況(ノークリサーチ提供)
「ストレスチェック義務化」は「マイナンバー制度」と並んで2015年の重要な法制度対応項目
「ストレスチェック義務化」とは、職場における労働者のストレス状態を企業がケアすることにより、職場環境および労働者の健康状態の改善を目指そうとする国の施策。マイナンバー制度と並んで、2015年に多くの企業が対応しなければならない新たな法制度だ。
本制度は2014年6月成立の「労働安全衛生法の一部を改正する法案」に基づくもので、従業員数50人以上の企業を対象(従業員数50人未満は努力義務)として2015年12月に施行開始となる予定。
企業は、従業員に対するストレスチェックを年1回実施する必要があり、チェックによって高ストレス状態にあると判定された場合や従業員が申告した場合には、医師による面接指導を実施し、必要があれば配置転換や労働時間短縮などの対策を講じなければならない。
マイナンバー制度と異なり、ストレスチェック義務化に関しては現段階では明示的な罰則は設けられていないが、施行までの間に適用条件がさらに厳しくなる可能性もある。
調査の結果、本制度の認知状況は、上のグラフのようになった。「内容を理解しており、自社で対応すべき事項も全て把握している」および「内容は理解しているが、自社で対応すべき事項は把握していない」を合計した回答割合は従業員数50人未満では20%未満にとどまる一方、従業員数50人以上では40%前後に達している。
したがって 「従業員数50人以上が対象」というストレスチェック義務化の基本的な適用条件についてはある程度は認知されているものと考えられる。
しかし、従業員数50人以上~100人未満の企業層においても「自社は義務化の対象外である」の回答割合が11.3%存在する点や、従業員数50人以上の企業層においても「名前だけは知っているが、内容については良くわからない」や「聞いたことがない用語である」という選択肢の回答割合が20~30%程度に達している点にも注意が必要だ。
規模の小さな企業層に対する訴求においては「士業」と連携したソリューション提供が有効
ストレスチェック義務化に対する基本方針(いくつでも)(ノークリサーチ提供)
年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、ストレスチェック義務化に対応する際の基本方針をどうやって策定するか(自社内で行うのか、社外の人材を活用するのかなど)を尋ねた設問の中で「誰に相談するのか」に関する選択肢のみを抜粋したのが上のグラフ(ダイジェストとして従業員数100~300人と500~1000人の2つの従業員数区分のみをプロット)。
2つの従業員数区分のいずれにおいても「制度対応の基本方針は自社内で情報収集/決定を行う」が最も多く挙げられている。
しかし、前述のように制度への理解度が不十分な企業もあることから、ITソリューション販社やSIerによる啓蒙の必要性が依然として残るとみられる。
特に従業員数100~300人においては「制度対応の基本方針は既存の社労士/会計士/税理士/中小企業診断士の助言に従う」の回答割合が他の選択肢と比べて相対的に高く、セミナー講演やコンテンツ提供などにおいて、社労士/会計士/税理士/中小企業診断士といったいわゆる「士業」と協業体制を敷くことを検討する価値がある。