攻撃されるのは恥じゃない--年金機構被害でカスペルスキーが対策語る - (page 2)

藤井涼 (編集部)

2015-06-05 15:55

サイバー攻撃から身を守るには

 では、企業や組織はどのようにして標的型攻撃の対策をすべきなのか。川合氏は(1)アプリやネットワークなどの「テクノロジ」、(2)人事制度や社員トレーニングなどの「教育」、(3)業務規程や認証管理などの「環境」、(4)被害届の提出や認識の是正などの「情報の取り扱い」が重要になるとし、この4つの軸が成立して初めてサイバー攻撃から身を守れると説明する。


 日本年金機構では、職員がメールに添付されたファイルを開いたことでマルウェアに感染したため、人的な要因ではないかという声もあったが、怪しいメールを開くべきではないという指摘自体が「まったくのナンセンス」と川合氏は語る。

 「攻撃者が皆さんのメール履歴をすべて持っていて、たまたま相手が添付ファイルを送ったメールを見つけたとする。その人になりすまして、『先ほど送ったファイルが間違っていたから修正して送ります』と言われて、送り主も同じだったら開くに決まっている。怪しいメールを開くなと言うが、見た目はちっとも怪しくない」(同氏)。

 そのため企業や組織がすべきことは、まずサイバー攻撃に対する認識を改めることであり、「うちは大丈夫」といった根拠のない自信はすぐに捨てるべきだと強調する。また、被害にあった企業や組織は、その事実を隠ぺいしようとすることも多いが、現在は日本全体が狙われている状況であり、攻撃を受けた経緯などは、公開または警察に届けることで、日本全体のセキュリティレベルを上げることを優先すべきだとした。


 また、テクノロジの観点からの対策として、最後の砦であるエンドポイント対策の見直しが重要だと語る。たとえば、Blue Termiteではバックエンドで指令サーバと通信するため、そうした挙動が見られた際には自動でブロックする製品などを導入する必要があるとした。また、実行ファイル(.exe)は削除または隔離するといった、初歩的なメール設定をするだけで大部分は防げると説明した。

 さらに、第3者などによるセキュリティコンサルティングを実施して、自社の設計や環境、運用の確認と評価をし、サイバー攻撃を受けた後の対策などもセキュリティポリシーとして用意しておくべきだとした。


ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  4. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

  5. ビジネスアプリケーション

    AI活用の上手い下手がビジネスを左右する!データ&AIが生み出す新しい顧客体験へ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]