SAS Institute Japanは8月25日、顧客の行動パターンなどの予測モデルを自動作成する予測モデリング自動化ツール「SAS Factory Miner」、テキストデータから傾向や洞察を導き出すテキストマイニングツール「SAS Contextual Analysis」を発表した。いずれも独自の機械学習エンジンを搭載し、人による操作を最小化する設計になっている。
SAS Institute Japan 執行役員 マーケティング本部 兼 ビジネス推進本部 本部長の北川裕康氏
同社が考える“機械学習”の定義について、同社 執行役員 マーケティング本部 兼 ビジネス推進本部 本部長の北川裕康氏は、「データから反復的に学習してパターンを認識し、将来の結果を予測するアルゴリズムの構築を自動化すること。さらに、自動化によってアルゴリズムをよりスマートにすること」と説明。分析の自動化により人間の介在を最小限にすることで、「将来予測モデルを高速に作れることが機械学習の効果だ」と述べた。
予測モデル開発の生産性を100倍以上に
SAS Factory Minerは、大規模データマイニングツール「SAS Enterprise Miner」のアドオンとして提供される。データの準備、変数の変換、予測変数の選定といった時間のかかるモデル開発プロセスを自動化し、さらに、セグメント(製品、地域、チャネルなど)ごとに複数のモデルを構築して最もパフォーマンスの高いモデルを自動選定する。ユーザーの操作は対象データの選択など数回のクリックだけで、専門的な分析スキルは不要だとする。
予測モデリング自動化ツール「SAS Factory Miner」
予測モデルの精度を上げるためには、パラメータの数を増やして試行を繰り返す必要がある。この過程で作られる予測モデルの数は指数的に増えるため、「工場のように効率的にモデルを生産する環境が必要」(同社 ソリューションコンサルティング第一本部 エンタープライズアナリティクス推進グループ アナリティクスビジネス開発 シニアマネージャー 辻仁史氏)
SAS Factory Minerでは、機械学習機能を使った自動化により、SAS Enterprise Miner単体では1週間に1~10個の開発が限界だった複雑な予測モデルでも、1週間に数百個の規模で作成できる。
機械学習と手動のルール設定を組み合わせてテキスト分析
SAS Contextual Analysisは、機械学習機能を搭載するテキストマイニングツールだ。SNSやアンケートなどから取得したテキストデータを構文解析し、トピックと各トピックに含まれる単語の重要度、各文章のセンチメント(書き手の感情)などを自動抽出する。テキスト分類ルールは機械学習エンジンによって自動生成されるが、分類の条件式を手動で追加することも可能。
テキストマイニングツール「SAS Contextual Analysis」
他のSAS製品と連携し、例えば、SAS Metadata Serverのデータセットを直接読み込んでテキスト分析することや、テキスト分析の結果をSAS Visual Analyticsに読み込んでさらに深掘分析を加えることができる。