Appleは米国時間9月9日、既に「iPhone」と「iOS」を導入済みの企業を主なターゲットとする12.9インチタブレット「iPad Pro」を発表した。Appleの幹部陣は、iPad Proはプロシューマー向けでもあるとして、MicrosoftやAdobeなどアプリの提携先の協力を得たエンタープライズクラスのデバイスだと主張した。
iPad Proは、Appleのエンタープライズ向け製品の穴を埋めるものだ。その穴とは、人気が高まっている2-in-1デバイスのことである。
Appleのマーケティングチーフを務めるPhil Schiller氏によると、iPad Proは対角12.9インチの画面を搭載。同氏は、「iPad Proの幅は『iPad Air』の高さとほぼ同じだ」と述べ、物理キーボードも披露した。多くの点で、iPad Proは「Surface」に非常によく似ている。Appleは「Apple Pencil」と呼ばれるスタイラスも発表したが、iPad ProとSurfaceの類似性は明白である。
主な情報は以下の通り。
- 価格は799ドル(32Gバイト)から
- Apple Pencilは99ドル
- Smart Keyboardは169ドル
- Wi-Fi+Cellularモデル(128Gバイト)は1079ドル
- 11月に発売
iPad Proに関して重要なのは、新しいアプリケーションと10時間のバッテリ持続時間を提供できることだ。Schiller氏はデモの中で、「iPad Proによって、新たなクラスのiPad向けアプリケーションが利用できるようになる。これはAutoDeskの『AutoCad 360』だ」と語った。
iPad Proは企業向けの製品だとAppleは説明している。同社は「Office」を宣伝するため、Microsoftまでこのイベントに呼び寄せた。
「Microsoft Office」担当コーポレートバイスプレジデントのKirk Koenigsbauer氏は、注釈を付けるツールやさまざまな機能を宣伝した。同氏は、「誰でも文書に印を付けられるインク機能によって、新型iPad Proの豊かな体験をさらに拡大したい。『Word』や『Excel』と同様、『PowerPoint』もApple Pencilへの対応に優れている」と語った。
Adobeも登壇し、モバイルアプリのデモを行った。
ハードウェアについては、ストレージ性能がデスクトップ並みに高められているとSchiller氏は述べた。
AppleのiPad Proが企業分野で「MacBook」から売り上げを奪うのかどうかは、現時点では不明だ。AppleはCiscoやIBMと提携して、差別化を図ったiOSアプリを企業向けに提供しようとしている。大型スクリーン搭載iPadの登場により、そうしたアプリケーションをより効果的に示すことができるだろう。
Wells FargoのアナリストMaynard Um氏はリサーチノートの中でこう述べた。「広範なタブレット市場の不振と、大型スクリーン搭載『iPhone』による自社製品同士の共食いが主な理由でここ数四半期、iPadの売り上げが減少していることを考えると、iPad Proのリリースで1四半期か2四半期、成長率が改善する可能性もあるとわれわれは見ている」
Microsoftは9月8日、Hewlett-Packard(HP)とDellが、企業で人気の高い2-in-1デバイスであるSurfaceを販売する予定であることを発表した。この販路拡大は、Accentureとの提携とともに、iPad Proと法人市場におけるその前途に対抗しようする動きのように見受けられる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。