日本マイクロソフト株式会社 執行役 常務 ゼネラルビジネス担当の高橋明宏氏
日本マイクロソフトは11月25日、「モバイルファースト、クラウドファースト時代」に即した自社のパートナー戦略について説明した。同日、クラウドパートナーを支援する「Start Up Microsoft Cloud!!」など新しい施策も併せて発表している。
Microsoftのパートナーといえば、これまで長らく「自社製品を売ってもらうリセラー」を指していた。2014年11月に、パートナーが自社のアプリケーションやサービスをAzureに代表されるMicrosoftクラウドと統合して顧客に提供できるようにする「CSP(クラウドソリューションプロバイダ)」プログラムを提唱し、パートナーの定義を拡大している。
今回の説明によれば、Microsoftはクラウド分野におけるパートナーの定義をさらに拡大した。日本マイクロソフト 執行役常務 ゼネラルビジネス担当の高橋明宏氏は、新しいクラウドパートナーの位置づけについて、「顧客に対してBDM(Business Decision Maker:ビジネス意思決定者)のように接し、Microsoftのクラウドサービスを使って新しいクラウドビジネスを生み出す企業である」と解説した。
同社のクラウドパートナーの事業領域は、(1)ホスティングなどのクラウドビジネスを行う「マネージドサービス」、(2)自社でアプリケーションやサービスを開発する「IPサービス、(3)SIやプロジェクトサービスを扱う「クラウドインテグレーション」、(4)AzureやOffice 365のライセンスなどを顧客のニーズに合わせて再販する「クラウドリセラー」――の4つに大別される。
「マイクロソフト クラウドパートナー」における4つの区分
マネージドサービスは、現在最も成長している事業領域で、過去3年間継続して年率50%以上の成長率だという。この領域のパートナー企業として、ホスティング事業者のクララオンライン 代表取締役社長の家本賢太郎氏がゲスト登壇した。同社は、Azureのマネージドサービスに加えて、自社IaaSとAzureを組み合わたハイブリッドクラウド環境も提供している。「今後は、アジア地域に海外進出したい顧客企業に向けてAzureの香港・シンガポールリージョンの利用を提案し、その運用をサポートしていく」(家本氏)とする。
IPサービスの事業者とMicrosoftは従来からオンプレミス分野でパートナーシップを組んできた。この領域のパートナー企業であり、Office 365のアドオンを提供するネクサスセットの代表取締役社長 別所貴英氏は、「当社は開発が中心の企業であり、販売や営業面に自信がなかった。マイクロソフトのクラウドパートナーに参画したところ、営業面や技術面の手厚いパートナーサポートがあり、顧客や他のパートナーとつないでくれた」とパートナーのメリットを語っている。
クラウドパートナー4領域の内訳は、高橋氏の説明によれば、全体の60%をクラウドリセラーが占める。マネージドサービスとクラウドインテグレーションは約15%、IPサービスが10%程度だという。複数領域に含まれるパートナー企業も多いため割合はあくまで参考値だ。
同日、AzureやOffice 365を使ったビジネスを立ち上げようとするクラウドパートナーを支援するウェブサイト「Start Up Microsoft Cloud!! 」をオープンした。同サイトから、技術や事例の情報提供、メールや電話によるサポート、ビジネスモデルの立案支援サービスなどを提供する。