ティントリジャパンは12月14日、仮想化環境に特化したNAS(NFS)ストレージ「Tintri VMstore」を機能強化した。最新OS「Tintri OS 4.1」では、VMwareの運用管理ソフトからTintri製品を監視、管理できるようにするなどVMware製品との連携を高めた。さらに同日、オールフラッシュ構成機のエントリモデル「Tintri VMstore T5040」の提供も開始した。
VMstoreは、仮想サーバのディスクイメージを格納する使い方に特化したNASストレージ。仮想サーバの1次ストレージとして利用する。最大の特徴は、一般的なストレージの管理単位であるLUNやボリューム単位ではなく、仮想マシン(VM)単位でI/O性能を管理できること。全自動のQoS機能も備えており、高いI/O性能を要求する仮想サーバに高いI/O性能を自動的に割り当てることができる。
今回、ストレージのOSを強化し、VMware製品との連携を高めた。強化点は3つある。(1)VMwareのウェブ管理ツール「VMware vSphere Web Client」からVMstoreの全設定をできるようにした。(2)VMwareの運用監視ソフト「VMware vRealize Operations(vROps)」にVMstoreの監視データを取り込めるようにした。(3)VM単位でストレージを管理するためにVMwareが標準で用意しているAPI「VMware vSphere Virtual Volumes(VVol)」を介してI/Oを管理できるようにした。
VMwareの運用管理ツールから管理可能に、VVolにも対応
(1)では、VMstoreの管理画面から操作できるすべての設定を、VMwareのウェブ管理ツール(Web Client)からできるようにした(図1)。このために必要な道具立てとして、Web Clientにアドオンするプラグインソフト「Tintri vSphere Web Clientプラグイン2.0」を提供する。同プラグインは以前も提供していたが、今回のバージョンアップで、Web Clietntから設定可能な範囲をVMstoreのほぼ全機能へと拡大した。
図1:Web Client向けにプラグインを提供(ティントリ提供)
(2)では、VMwareの運用監視ソフトであるvROpsを使ってVMstoreも運用監視できるようにした(図2)。このために必要な道具立てとして、vROpsにアドオンするプラグインソフト「Tintri Management Pack for vRealize Operations」を提供する。vROps単体でもストレージを監視できるが、VMstoreに固有の監視情報をvROpsで監視できるようになる。VMstoreが出力するアラートも、他のアラートとともにvROps上で一元的に確認できる。
図2:vROps向けにプラグインを提供(ティントリ提供)
vROpsは、ストレージを含んだ仮想環境を監視するソフト。監視データをレポート化したり、問題を解析したり、アラートを可視化したり、条件に応じて運用管理のアクションを実行したりする。
特徴として、監視のしきい値を過去のデータを参考に動的に設定できること、トラブルの兆候を検知して取るべきアクションを予測的に提示できることなどがある。VMstoreでも、対処方法を事前に登録しておけば、アラート発生時にvROps上に表示できる。vROpsの国内事例の1つとして、みずほ情報総研が運用の自動化と可視化に利用しているという。
(3)では、LUN単位ではなくVM単位でI/O性能を管理するためのVMware標準APIであるVVolに対応した。VMstoreは元来、VM単位でI/O性能を管理できるが、こうしたVMstoreの機能をVVol環境でもそのまま同様に利用できるようにした。1台のVMstore内に既存のNFSストレージ領域と新しいVVolデータ格納領域を共存させられる。
記事執筆現在、39社のストレージベンダーがVVolに対応しているという。他社との差異化要因としてティントリは、VMstoreでは事前のサイジングが必要ない点を挙げる(図3)。他社の場合、必要なVM台数からVVol数を計算し、これに基づいてLUNを作成し、VVolに割り当てる、といったサイジングの作業が必要になるという。また、QoSの自動化もTintriならではの強みとしている。
図3:他社のVVol対応ストレージとは異なりサイジングが不要(ティントリ提供)
オールフラッシュ構成機に最大1500VMのエントリモデルを追加
OSの機能強化にあわせて、ストレージ製品の新モデルも追加した。オールフラッシュ構成の「Tintri VMstore T5000オールフラッシュ」シリーズのエントリモデル「T5040」だ。これによりVMstoreは、ハイブリッド構成の「T800」シリーズ(全3モデル)と、オールフラッシュ構成のT5000シリーズ(全3モデル)の合計6モデル構成となった。
VMstore T5040の外観(ティントリ提供)
ハイブリッド構成のT800シリーズは、NVRAM、SSD、HDDを階層型で使う製品。アクセス頻度が少ないデータをSSDよりも安価なHDDに退避させる仕組み。これに対してオールフラッシュのT5000シリーズは、SSDとHDDの階層をやめてオールSSDとすることでアクセス性能を高めている。
今回追加したエントリモデルのT5040は、最大で1500台の仮想サーバを収容できる。重複排除、圧縮後の論理実効容量は18Tバイトで、税別価格は2500万円。これに対し、上位の2モデルは、「T5060」(最大2500台、容量36Tバイト、5000万円)と、「T5080」(最大5000台、容量73Tバイト、7400万円)だ。