デジタルアーツは3月8日、ファイルの暗号化、追跡ソフトウェア「FinalCode」とファイル共有サービス「Box」の連携ソリューションを発表。日本をはじめ、全世界で提供する。
FinalCodeは、暗号化し、自動透かし設定などファイルを守るための機能、アクセスログ、操作ログなどを確認する追跡機能、社外に出たファイルをリモートで削除、アクセス権限を変更するなどの機能などをもつファイル権限管理(Information Rights Management:IRM)ソフトウェア。
社外に送信したファイルをあとから消せる機能が特徴で、「今年度第3四半期までも企業向け売り上げが前年比400%増となるなど高い伸びを示している。当社にとって主力製品であるi-Filter、2つ目の柱であるm-Filterを急追する戦略的製品」(デジタルアーツ代表取締役社長の道具登志夫氏)となっている。
今回、ファイル共有サービスのBoxとの連携でBox経由で共有したファイルがBoxから出た後であっても削除、機能制限などをかけることができる。ボックスジャパン代表取締役社長の古市克典氏は、「クラウド上のセキュリティはわれわれBoxが、クラウド外のセキュリティをFinalCodeが担うことで完全無欠のソリューションとなる。これを第1号として日本発で世界に打って出たい」と話している。
工場での設計図を安全に
デジタルアーツは、1月にFinalCodeの知的財産をシリコンバレーにある米子会社に集約し、海外でFinalCode事業を展開する素地を固めた。2月にシンガポールに法人を開設し、今後欧州にも法人を開設してグローバル展開の体制を進めている。FinalCodeは、「あとから消す機能が他にはないことから2015年度にグローバルアワードを複数受賞するなど海外での評価が高い」(道具氏)ことから、海外展開の戦略商品という位置付けとしている。

デジタルアーツ 代表取締役社長 道具登志夫氏
Boxとの連携では、ボックス内でのファイルを自動でFinalCodeで暗号化。Box内のユーザー権限を管理する機能「コラボレータ」とFinalCodeでのファイルのアクセス、操作権限が連動することで、Box内のセキュリティ設定をBox外のファイルにも拡張する。
「FinalCodeの導入事例としては、自動車会社が社内での情報共有の際にFinalCodeを導入し、アジアの工場向けに自動車の設計図のセキュリティを保つために利用している。設計図送付後は、アジアの工場の権限を限定し、閲覧はできるものの、印刷、上書き保存などができない設定とする。プロジェクト終了後は閲覧もできない設定に変更するといったことも可能。万が一、社外に不正にファイルを送られた場合にはファイルが開けない設定としておくことで情報漏えいを防止できる」(道具氏)
Boxとの提携によって、高いセキュリティを保ちながら、メールでは送付しにくい大容量データの共有が可能となり、企業ユーザーにはメリットが大きいと両社はアピールする。
ボックスジャパンは、日本の独自ニーズに応えられる、パートナーとの連携によるビジネスを進めてきた。
「ボックスジャパンは2013年に設立したが、日本での展開は強力なパートナーとウィンウィンの関係を築くことを目指している。セキュリティをはじめ、日本固有のニーズとして電子印鑑、複合機などを提供するベンダーとのエコシステムを実現している」(古市氏)
他社との連携は、ファイル共有サービスの中でも企業向けサービスを展開するBoxの特徴でAPI、エンベデッド、Box Platformとさまざまな方法を提供し、企業向けのメジャーなクラウドサービスをはじめ、企業の自社開発システム、サードパーティー製カスタムアプリなどとの連携も実現している。
今回、FinalCodeとの連携ではクラウド、クラウド外のどちらであってもシームレスに守ることができるセキュリティソリューションとしてアピールしていく。
FinalCode Ver.5のBusiness Edition、Enterprise Editionを利用していれば、ライセンスあたり月額300円で利用できる。契約は年契約になっている。

FinalCodeとBoxの連携利用イメージ(デジタルアーツ提供)