15TB SSDを実現、ネットアップがストレージOS新盤「ONTAP 9」発表

大河原克行

2016-06-13 15:26

 ネットアップは6月13日、ストレージOSの最新版となる「ONTAP 9」を発表。2016年6月末から出荷する。

 今回のONTAP 9では、フラッシュストレージ環境に最適化したデータ管理ソフトウェアのうち、オンプレミスで利用できる製品を「ONTAP 9」の名称とするほか、これまでNetApp Cloud ONTAPと呼んでいたクラウドに対応した製品を「ONTAP Cloud」、そして、Software-Defined Storage(SDS)によるデータ管理ソリューションとして提供するソフトウェア向けの製品を「ONTAP Select」として再構成した。


ネットアップ 最高技術責任者(CTO) 近藤正孝氏

 ネットアップ 最高技術責任者(CTO)の近藤正孝氏は、「ONTAP 7からONTAP 8はアーテキチクャが変わったが、ONTAP 8からONTAP 9へは、クラスタリングのアーキテクチャは変えずにエンタープライズクラスのツールへと進化させた。オンプレミスでも、オフプレミス/クラウドでも利用できるようにしているのが特徴だ」と位置づけた。

 また、ONTAP 9によって、15TバイトのSSDを提供することができる初のオールフラッシュアレイベンダーになることも強調した。

 「大容量化は急速に進展しており、2015年前半には800Gバイトのストレージであったものが、今回の製品で15Tバイトとなり、わずか1年で20倍も拡大した。8Uのフォームファクタで1Pバイトの環境が実現でき、設置面積は11分の1、消費電力も11分の1に削減できる。レイテンシは1ミリ秒未満のパフォーマンスを実現。そして、4分の1の実効容量で済むのも特徴。データ効率性が高まることで、オールフラッシュストレージシステムでありながら、従来のHDDベースのストレージシステムと比較しても、高いコスト効率化を実現している」(近藤氏)という。

 インラインのデータコンパクションを、従来のデータ圧縮/データ重複排除の機能と併用することで、さらなるデータ容量の削減とフラッシュに環境のコスト削減が可能になるほか、ヘッドルームと呼ぶ、レイテンシベースによる同社独自の新たな性能指標を用い、レイテンシの増加曲線から、システムの最大性能を予測することができ、管理の最適化を図れる。

 Oracle RAC、Microsoft SQL Serverといったミッションクリティカルなワークロードのデータ向けに、わずか10分間での導入を可能にする簡単なセットアップおよび管理環境を提供。システム監視環境の強化により、IT環境全体のパフォーマンス、キャパシティ、データ保護を一元的に管理できる。

 「AFFの高速プロビジョニングワークフローを用いることで、新クラスタ構成やPOCの評価に最適化している。クラスタセットアップをプリコンフィグし、セットアップ済みで出荷。また、システムマネージャーから1ウインドウで各種アプリケーション用プロビジョニングを実施可能にする。VMwareやHyper-V、XenServerといった仮想サーバや仮想デスクトップにも対応している」(近藤氏)

 また、SDSとして、汎用サーバだけでなく、OEMを含むネットアップ製品、FlexPodなどの統合インフラ、他社製ストレージ、NetApp Private Storageのほか、クラウド上のデータ向けにも共通のデータサービスを提供する。


ONTAPでさまざまな環境を統合

 さらに、新たに搭載したトリプルパリティのRAIDにより、ストレージの暗号化を強化。コンプライアンス関連機能により、ドライブの障害に対する安全性を最大で100倍も強化できるという。「3つめのパリティを追加することで、より大きなRAIDグループをサポートすることができ、データロストの危険性を減らすことができる」という。


米NetApp ONTAP製品担当副社長 Jay Subramanian氏

 米NetApp ONTAP製品担当副社長のJay Subramanian氏は、「業界は大きな転換期を迎えている。IT予算が削減され、IT担当の人員が削減されるにも関わらず、IT環境はますます複雑になっている」と指摘。ONTAP 9は、こうした課題を解決する“デジタルエンタープライズサイバイバルツール”になるとアピールした。

 「2015年、当社では、データファブリックを提唱し、オンプレミスやクラウドなどの複数のデータの間で、シームレスな管理を実現することを目指した。ONTAP 9は、それをさらに進めるものになる。複雑な環境で多様なワークロードを統合管理し、コモディティ化したハードウェアにおいて、柔軟な管理を可能にする。さらに、可用性、耐障害性、性能においてもエンタープライズグレードのサービスを提供することができる。OLTPベンチマークワークロードでは、ONTAP 8.3と比較して、41%の性能向上を実現している。また、SDSにより、Amazon Web Services(AWS)などのハイパースケールサービスプロバイダーで動作し、開発やテスト、フィルサービス、バックアップディザスタリカバリなどの用途にも利用できる。柔軟な容量ベースのライセンスとしているのも特徴だ」(Subramanian氏)


ONTAP 9の新機能

 ONTAP 9は、オンプレミスで利用できるONTAP 9ライセンス、AWSなどのクラウド上の導入に対応したONTAP Cloud(旧NetApp Cloud ONTAP)、そして、Software-Defined Storage(SDS)によるデータ管理ソリューションとして提供するONTAP Selectを提供する。


ONTAPの製品構成も刷新した

 なお、近藤氏は、「2年前には約8割のユーザーがONTAP 7を利用していたが、約1年前にこれが逆転。今年4月末時点では、8割がClustered Data ONTAPとなっており、7-Modeでの利用がシュリンクしてきたと判断している。その点で、ONTAP 8は、7-Modeからの移行を促す役割を果たしていたともいえる。また、ONTAP 8.3からは、Copy-Free Transition(CFT)を提供し、7-ModeのシェルフをそのままClustered Data ONTAPおよびONTAP 9に移行が可能。国内でも、100Tバイトのファイルサーバを4時間程度で移行完了させた事例が出ている。ここでは転送時間は1時間で完了している。有償でのNASデータ移行サービスも用意しており、ユーザー環境と要件にあわせたスムーズな移行を支援できる」とした。

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