ブロックチェーン

「The DAO」ハッキング事件、ブロックチェーンの“巻き戻し”対応に賛否両論

廣瀬一海(デプロイ王子) 羽野三千世 (編集部) 2016年07月15日 10時36分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 自律分散型投資ファンド「The DAO」が取引基盤とするイーサリアムベースのブロックチェーンがハッキングを受け、日本時間6月17日午後にThe DAOのアカウントから仮想通貨イーサリアム(ETH)が流出した(関連記事)。その後Slock.it(The DAOの発案元)は、The Ethereum Foundation(ETHの運営元)やEthereum開発者との議論を重ね、コミュニティの協力により、ハードフォークによって本件に対する対策を行うこととその具体策の内容についての提案を7月6日に公式ブログ で発表した。

 Slock.itは、この内容が決定ではなく、このハードフォークに関する仕様や進捗、開発ソースコードとテストに関してコミュニティとともに慎重に進めているとしている。

 手法としては、EthereumはブロックX(1922000ブロック)までハードフォークにより巻き戻し、Ethereumネットワークから流出したDAOと運営側DAOを一旦回収、DAOの親アドレスに転送を行う。その後DAOは、攻撃者以外のアカウント以外の正当なアカウントのホワイトリストを作成し、これらのリストに含まれるアカウントに払い戻しを行うとしている。

 また、このハードフォークを実現するために、Xブロック時点から9ブロック先まで、ブロックヘッダのExtradataに対して、既存のブロックと違うことを検出、判別する実装が行われる。つまり、Ethereumのソフトウェアの更新で本件に対応するということだ。これに伴い、マイナーやマイナープールなどのEthereumノードは、ソフトウェアの更新作業が必要になる見込みだ。その後、DAOによってRefund(返金処理)が開始される予定だ。流出した資産が有効化されるのは7月21日頃になる見込みであり、その期日が迫るなか、Slock.itには迅速な対応が求められている。

 この案は、各言語向けのEthereum開発実装者に連絡され、判断はEthereumコミュニティと開発者に委ねられている。この案が合意した場合のみとなるが、各Ethereum実装のリポジトリを確認する限りでは、各者とも対策の実装が進んでいるようである。

 しかしながら、今回の対応をめぐってはブロックチェーン関係者や識者の間で、好意的な意見もある一方、本来巻き戻ることがないブロックチェーンの仕組みをゆがめる判断に対する否定的な意見が出るなど、さまざまな議論が巻き起こっている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
企業決算を追う
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化