Hewlett Packard Enterprise(HPE)の最高経営責任者(CEO)Meg Whitman氏は米国時間9月7日、ソフトウェア事業についての方針を発表した。ビックデータやエンタープライズセキュリティといった一部の「中核ではない」ソフトウェア資産をスピンオフし、イギリスのソフトウェアベンダーMicro Focusと統合させるという。
ライバルのDellがEMCの買収を完了し、Dell Technologiesとしてスタートを切った日の発表となった。DellがEMCを飲み込み巨大化するのに対し、HPEがスリム化を進めている。
今回HPEは、アプリケーションデリバリー管理、ビックデータ、エンタープライズセキュリティ、情報管理とガバナンス、ITオペレーション事業などの「中核ではないソフトウェア資産」を切り離し、Micro Focusと統合させる。約88億ドルの取引となり、HPEは25億ドルを現金で受け取る。HPEの株主は統合した会社の株式50.1%を所有する。Micro Focusはソフトウェア資産を多数有しており、ビックデータ分析やセキュリティなどの成長分野への投資を継続していく。Whitman氏は、そうした資産が顧客や従業員、株主にさらなる価値をもたらすとしている。
一方で、クラウド環境において重要で、インフラソリューションの差別化につながるソフトウェア定義などの技術には今後も投資するという。新たに構築したソフトウェア定義およびクラウド事業は、「Helion Cloud」プラットフォームや管理ソフトウェア「OneView」といった鍵となるソフトウェア資産を軸とするとしている。
今回の動きは、Hewlett-Packard(HP)の分社化により2015年11月に誕生したHPEにとって新たな事業再編となる。Whitman氏は、顧客のデータセンターを動かすセキュアで次世代のソフトウェア定義インフラストラクチャとマルチクラウド環境の橋渡しをする、業界をリードするハイブリッドITプロバイダーとなるといったビジョンを掲げていた。同社はこうしたビジョンの達成に向け、進めている戦略と合わせてポートフォリオや製品のロードマップを再編成するプロセスの中で、戦略との連携が薄い事業の整理を進めてきた。2015年末にはTippingPointをトレンドマイクロに売却したほか、5月にはエンタープライズサービス部門をスピンオフしてCSCと合併させている。