Hewlett Packard Enterprise(HPE)は米国時間5月24 日、同社のエンタープライズ向けサービス部門をスピンオフさせたうえで、CSCと合併させると発表した。この合併によって、売上高が260億ドル規模にのぼる、ITサービス業界の大手企業が誕生することになる。
HPEによると今回の合併では、非課税の株式交換によりHPEの株主は総額で85億ドルを手にすることになるという。これには、新会社のおよそ半分に相当する株式と、現金配当15億ドルが含まれる。また合併によって初年度に、1年目のコスト削減として約10億ドル(1年後のランレートは15億ドル)が見込めるという。
HPEは、既存顧客に対するサービス提供に関する取り決めが新会社との間で交わされていると述べている。新会社はCSCの最高経営責任者(CEO)Mike Lawrie氏が率い、HPEのCEOであるMeg Whitman氏は取締役会役員を務めることになる。
合併手続きは2017年3月31日に完了する見込みだ。
この合併で注目に値するのは、Hewlett Packard(HP)がHP Inc.とHPEに分かれたように、CSCも最近、2社への分社化を実施したところだという点だ。なお、Dellも最近、ITサービス事業をNTTデータに売却すると発表している。
Whitman氏は声明で、スピンオフと合併により、ITサービスに特化して発展していく企業を生み出せるようになると述べた。HPEはスピンオフの実施後、クラウドおよびデータセンターインフラに注力するという。またWhitman氏は電話会議で、HPEのサービス事業はここ数年で最も強固なものとなっているとし、「ES(エンタープライズ向けサービス)は長期的な目標に向かって順調に進んでいる」と述べた。
合併により誕生するサービス企業は、年間売上高が260億ドル規模になると見込まれ、世界中のさまざまな地域にまたがって5000人以上の従業員を抱えることになる。
集中戦略は実を結ぶのか?
HPEのエンタープライズ向けサービス部門は、2016会計年度第2四半期の売上高として47億2300万ドルを計上した。この数字は前年同期比48億1700万ドルを下回っている。また、同部門の第2四半期における税引き前利益は3億1700万ドルだった。
しかし、Hewlett-Packardの時代にElectronic Data Systems(EDS)の買収で生まれたHPEのエンタープライズ向けサービス部門は、ここ数年苦しい状況にあった。Whitman氏の狙いは、CSCとの合併によって、集中戦略をさらに推し進めることだ。つまり、HPEはサービス部門の改革に時間を割かずに済むようになるわけだ。一方、CSCはサービスに注力しており、IBMやAccentureがライバルとなっているものの、合併によってその立場をより強固なものにできる。
電話会議においてLawrie氏は、両社の顧客は15%しか重なっていないため、この合併は両社に機会をもたらすと述べた。同氏はまた、両サービス部門は改革され、顧客に焦点を合わせ、経費を削減してきていると付け加えた。
「新会社は世界で3本の指に入るITサービス企業になり、顧客のデジタルトランスフォーメーションを導いてゆく」(Lawrie氏)