人工知能とアートの関係--なぜIT企業がデザイン会社を買うのか(前編)

増村岳史

2016-12-17 07:00

絶対にAIにとって代わられない仕事とは

 現在、第3次人工知能(AI)ブームと言われている。今後10~20年以内に現在ある仕事の約半分がAIにとって代わられるという記事をしばしば目にする。例えばコールセンター、会計士、秘書業務、小売店販売、商品レジ打ちの仕事、人材マッチングの仕事など、確かにパターン化ができ、アルゴリズムが抽出しやすい仕事はAIにとって代わられる可能性がある。

 まさに現在、これらの仕事に従事されている方々は戦々恐々である。しかしながら世の中がどんなにAIが発達、進化してもとって代わられない仕事が存在する。それはまさにアートなのではなかろうか。

 IBMやアクセンチュアなど大手IT企業が広告会社やデザインチームを持ち企画を内製する時代、アートはITとどのように関係していくのかを探りたい。

理数系のスキルがアートには必要?


 さて、アートというと感性のみが支配するジャンルという認識を持つ方がとても多いと思われる。小・中学生の図工や美術の時間を思い出していただきたい。読者の皆さんも小・中学生の図工や美術の時間に先生から「自由に感性のおもむくままに描きましょう」と言われたはずだ。

 そして一部の感性が豊かな生徒のみがアートの道を目指す。これはまぎれもない事実であろう。しかしながらここで「興味深い事実」がある。

 日本で最難関の芸術系大学である東京藝術大学。定員数がとても少なく、最も定員数が多い油絵科(正式名称:絵画科 油画専攻)でも定員が55人であり、2016年の倍率は19.1倍であった。巷では合格するにあたって、2浪、3浪は当たり前と言われている。

 もちろん芸術の才に長けている生徒たちが入学を許されるのは言わずもがなであるが、興味深いのは、数少ない現役合格生に共通して「中学から高校にかけて数学が得意だった」という特徴があるというのだ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    標準化されたOS「Linux」で実現するIT環境の効率化、検討すべき9つの事項とは

  2. クラウドコンピューティング

    CentOS Linuxアップデート終了の衝撃、最も有力な移行先として注目されるRHELの今

  3. クラウドコンピューティング

    調査結果が示す「Kubernetes」セキュリティの現状、自社の対策強化を実現するには?

  4. OS

    Windows 11移行の不安を“マンガ”でわかりやすく解消!情シスと現場の疑問に応える実践ガイド

  5. 運用管理

    AWSに移行することのメリットと複雑さ--監視ソリューションの導入から活用までを徹底解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]