Amadeusの旅行予約システムは、124社を超える航空会社によって190カ国以上で利用されている。このシステムはどのように運用されているのだろうか。
Amadeusの最高技術責任者(CTO):「われわれは、より緊密かつ即時性のあるかたちで、パーソナライズされたトラベルエクスペリエンスを提供したいと考えています」
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世界のどこで飛行機を利用する場合であっても、利用可能なオプションを提示したり、便を予約したり、チェックインからホテルの予約までのさまざまなことを実現するテクノロジの多くは、Amadeusによって支えられている。
米ZDNetは、Amadeusのグローバルオペレーション担当最高技術責任者(CTO)を務めるOlaf Schnapauff氏にインタビューし、「MongoDB」テクノロジの利用も含め、同社の取り組みについて話を聞いた。
——Amadeusの取り組みは極めて大規模です。中核であるデータベーステクノロジは、どのようなかたちで活用されているのでしょうか?
AmadeusのSchnapauff氏:「われわれは数十テラバイト規模のストレージ容量と、数十テラバイト規模のスループットのクラスタを実現しています。9カ月間で3台のサーバから42台のサーバにまで拡張したクラスタもあります」
提供:Amadeus
Amadeusは、旅行業界を支えるテクノロジを提供しています。希望に合うプランを探し出す最初の検索から、仮手配や価格の見積もり、チケット発行、予約、チェックイン、チェックアウト、ホテル、鉄道に至るまでの、旅行に関するあらゆることが対象です。
ほとんどの人は気付いていないでしょうが、たいていの人は旅行に際してAmadeusのシステムを利用したことがあるはずです。われわれは、ドアツードアでの一貫したトラベルエクスペリエンスの実現を目指しています。
旅行に対する人々の期待は大きく変化しました。われわれのシステムは極めて大規模です。2015年には約4億5000万人の旅行者のニーズを取り扱い、日々の予約はピーク時に400万件にも達しているほどで、テクノロジに対するわれわれの要件は以前から極めて厳しいものでした。
われわれは高い信頼性を維持する必要があります。われわれのシステムは、確実かつセキュアである必要があるのです。レイテンシやスループットの面で極めて高いパフォーマンスが必要なだけでなく、人々の期待するトラベルエクスペリエンスが変化したという現実に対応する必要もあります。
かつて、人々は旅行代理店にまで出かけ、そこで会話を交わし、時にはアイデアを得たりしていました。それが終わると、旅行代理店は利用可能なものや価格についての問い合わせや、ちょっとした調査を実施し、最終的に予約をしていました。
一方、今日では人々の期待するエクスペリエンスが全体的に大きく変化しています。例えば、私はスキューバダイビングが趣味なのですが、どこかにダイビングに出かけたいと思ったものの、どこに行けばよいかよく分からなかったとしましょう。そんな時にはGoogleで検索し、お勧めの場所やアイデアを見つけ出し、行きたい場所に関する結果を得るでしょう。また、必要なサイトは1つだけであり、実際に見てみるサイトの数は10ぐらいですが、この頃では検索するとサイトが5万件もヒットしてびっくりすることもあります。
われわれがlook-to-bookレシオと呼ぶもの(サイト訪問者のうち予約に至った人の比率)は、今日では飛躍的に伸びています。人々による事前の調査が増えるとともに、結果の数も増えるという好循環が続いているのです。
MongoDBをベースにした「Instant Search」(インスタント検索)という新機能は、顧客が欲している、あるいは必要としているものを得られるようにするうえで、本当に役立っています。最近の世代の人々には昔ながらのやり方、つまり希望条件を入力し、結果が出るまでの間にコーヒーを飲みに行ってもらうというやり方は通用しません。それはもはや有効ではなく、即座に結果を手渡す必要があります。