沖縄ツーリスト(那覇市)は、未知のマルウェアに対処する人工知能(AI)技術を利用したウイルス対策製品を採用し、グローバルで導入展開を開始した。セキュリティ企業のCylance Japanが発表した。
沖縄ツーリストは、沖縄を起点にした旅行商品の企画販売や、沖縄と北海道を中心としたレンタカー事業などを展開する観光旅行事業者。日本国内だけでなく韓国や台湾、シンガポールにも拠点を展開し、日本を経由せず、海外拠点からニュージーランドに顧客を送客する「第三国観光」にも注力している。
同社では、パターンマッチングによる従来型のウイルス対策ソフトをPCなどエンドポイントに導入していたが、未知のマルウェアへの対処が課題となっていた。最近では業務連絡に見せかけたマルウェア付きのメールを送りつけられるケースもあり、社員へのセキュリティ対策トレーニングだけでなく、標的型メールを誤って開封してしまった後の具体的な対策を模索していたという。
システム構成
同社はサイランスの「CylancePROTECT」を検討。試験導入で既知・未知のマルウェアの検知テストで良好な結果が得られ、標的型の怪しいメールを開封してしまったとしても被害を未然に防げると判断できたという。また、従来型製品で必要な日々のシグネチャアップデートが不要になり、拠点と本社間のVPNの通信の負荷を軽減できることや、エージェントソフトの更新の手間がが少ないこと、拠点ごとに細かい設定を管理コンソールで一元管理できることなどを評価した。
CylancePROTECTは、アルゴリズムサイエンスとAIを活用した機械学習リサーチプラットフォームを搭載しており、ファイルごとに何百万もの特性を解析・分類し、「DNAレベル」まで分解して、そのオブジェクトが「良性」か「悪性」かをリアルタイムに判断する。
沖縄ツーリストでは、検討開始から2カ月で導入を完了し、各国の状況に応じてセーフリストを作成。稼働後1カ月程度のチューニングを経て、現在は800台のPCに展開、安定稼働させている。導入後最初のディスクスキャンで、以前の製品では検知されなかったマルウェアが発見されたという。導入により、拠点からのマルウェアに関する問合せも大幅に減少したという。また、少ない管理者のリソースでもセキュアな環境を維持したまま運用管理でき、作業工数の削減と同時に管理者の心理的なストレスの軽減にもつながっているという。