アイ・ティ・アール(ITR)は5月18日、「国内金融IT市場動向調査2017」を発表した。これによると、銀行や証券、生保、損保、その他金融に属する企業の中で、2017年度(2017年4月~2018年3月)のIT予算が増加すると予想した割合は全体の3割強になった。依然として横ばいを予想した企業が最も多くなったが、その割合は前年比で約3ポイント減少している。
2017年度のIT予算の増減予想(2016~2017年度予想、金融業)
「10%~20%未満の増加」(10.4%)と「10%未満の増加」(18.3%)を予想する企業の割合が高くなり、2016年度同様に増加が減少(13.2%)を大きく上回った。一方、減少を予想する企業の割合(13.2%)は2016年度よりも高くなったものの、「20%以上の減少」(0.4%)は1.2ポイント低くなっている。
また、2017年度に向けて金融企業が最重要視するIT課題は「IT基盤の統合・再構築」が81.3%と唯一80%を超えるポイントで最上位となった。「マイナンバー制度への対応」は、現在の実施率が最も高く、3年後の実施率予想は2番目となった。ITRではマイナンバー制度への対応について、重要度指数でも4番目と高い順位になっていることから、制度対応として喫緊の取り組みが必要であることがうかがえるとしている。
主要なIT動向の重要度指数と現在および2019年度の実施率(金融業)
売上高に対する2016年度のIT予算比率は、全体平均で6.1%。業種別では、「銀行」(7.4%)が最も高く、次いで「証券」(7.2%)といずれも7%台の高水準となり、これら2業種が全体平均を押し上げている。
金融業種別に見るIT予算比率(2016年度、金融業)