ExpertyのICOを狙うフィッシング詐欺--1600万円相当のEthereumが盗まれる

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2018-01-30 10:00

 大いに注目を集めて待ち望まれていたExpertyの新規仮想通貨公開(ICO)が、混乱状態に陥っている。ICOを前に、投資家らを狙ったハッカーによって、約15万ドル(約1600万円)相当のEthereum(ETH)が盗まれたからだ。


提供:bkeychain.com

 ExpertyのICO(トークンセールとしても知られる)は、「Skypeのような音声およびビデオ通話アプリケーション」のための資金調達を目的としていた。そのアプリケーション自体も、ブロックチェーンによる安全な決済に対応する可能性がある。

 ICOは新規株式公開(IPO)に似ているが、同じようには規制されていない。投資家には企業の株式ではなく、プロジェクトのトークンが提供される。

 ExpertyのICOは1月末に予定されていた。Bleeping Computerが最初に報じたように、発表の通知を受けるように登録していたExpertyユーザーに対して、悪意ある何者かが偽のICO前メッセージを送信した。

 それらのフィッシングメッセージは、綴りの誤りが散見されるものだったが、12時間以内に投資すれば、Ethereumと引き換えに追加のExpertyトークン(EXY)を受け取ることができるとして、ユーザーを誘導する内容だった。

 フィッシングメッセージには、同社には関係のないウォレットアドレスも含まれていた。

 多くのユーザーがこの詐欺に騙されたようで、ウォレットは現在空だが、この数日間で合計74件、およそ15万ドル相当のETHによる取引が行われた。

 Expertyはトークンセールの処理にBitcoin Suisseのサービスを利用しているため、いかなるウォレットへの送金も同社の管理下にはない。さらに、今回のフィッシング攻撃では1つ以上のウォレットが使われた可能性もある。

 しかし、だからといってExpertyに落ち度がないわけではない。同社がMediumに掲載した声明によると、ハッカーがExpertyユーザーのメールアドレスを発見できたのは、「(Expertyの)審査担当者の1人がハッキングを受け、ハッカーが一部のユーザー関連情報へのアクセスを得た」結果だという。

 ExpertyのPoC(Proof-of-Care:出資者がプロジェクトを支持する度合い)の審査に関与していたチームメンバー所有のPCがハッキングを受け、情報が盗まれたと同社は説明している。

 Bitcoin Suisseに送金された資金は無事だといっても、情報が漏えいしてフィッシング攻撃を受けたユーザーの助けにはならない。

 Expertyもこれを認識しており、お詫びのしるしとして、同社のデータベースにETHアドレスが保存されていた全員に対して100 EXYのトークンを支払う予定だという。

 しかし、サイバー攻撃者にETHを送金してしまった被害者にとって、それで投資分が取り戻せるわけではない。

 一方、Bitcoin Suisseも問題のウォレットに資金を送金しないようユーザーに警告していた

 Expertyは追加の声明で詐欺の被害者に誠意を示し、損失分を返還することを約束している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI を活用した革新的な事例 62 選 課題と解決方法を一挙紹介

  2. セキュリティ

    新入社員に教えるべき情報セキュリティの基礎知識--企業全体を守るための基本ルールを徹底解説

  3. セキュリティ

    KADOKAWAらの事例に学ぶ、2024年サイバー攻撃の傾向と対策

  4. セキュリティ

    【マンガで解説】なぜ中小企業でも最新のセキュリティ対策を強化しなければいけないのか?

  5. ビジネスアプリケーション

    調査結果が示す、通信業界の「生成 AI 活用」インパクト--成果を達成する 4 つのユースケース

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]