ChatWorkは2月8日、同社のビジネス戦略に関する記者説明会を開催した。チャットを“ビジネスのOS”と位置付け、全ての仕事の起点となるビジネスプラットフォームになることを目指す。
現在、ビジネスチャットツール「チャットワーク」は16万3000社超の企業が導入し、国と地域は223カ所に及ぶ。中小企業や非IT系企業での利用が多いのが特徴だ。機能は大きく分けて「グループチャット」「タスク管理」「ファイル共有」「ビデオ通話/音声通話」の4つ。「電話やメール、会議、移動、紙などの手段で進めていた業務の大部分を置き換えられる」(最高経営責任者の山本敏行氏)とし、仕事の全てがチャットで効率的に完結するとしている。
ChatWork 最高経営責任者(CEO)の山本敏行氏
チャットワークはビジネスユーザーをメインターゲットとしている。最近テレビCMなどでも目にする「Slack」はエンジニア向け機能の豊富さをウリとしている。一方で、チャットワークは使いやすくシンプルなユーザーインターフェース(UI)を採用し、社内外でのコミュニケーションが取りやすい仕組みとなっている。
「シャドーITなど機密情報の管理や労働内容の把握などの観点からビジネス専用チャットの活用が不可欠」と山本氏は話す。その上で、「現在のビジネススタイルにフィットする最適ツールで、“働き方改革”を推進する“Must Have”ツールである」とした。
チャットワークのコンセプト
説明会では、最新の導入事例として、大和証券と九州大学が紹介された。大和証券では、社内の働き方改革を推進すべく、業務効率化や生産性向上、多様な働き方に対する取り組みの一環として、時間や場所に制限されることなく業務ができるビジネスチャットん導入を検討。法人部門から導入をはじめ、グループ会社での導入も視野に入れている。
九州大学では、学生ベンチャーを創出する部活「起業部」の公式コミュニケーションツールとして導入された。もともと別のチャットツールを使っていたが、過去のチャット履歴が確認できなかったり、プライベートのチャットと部活動のチャットが混在してコミュニケーションが煩雑になったりすることから、新たなチャットツールを検討。個々の起業プロジェクトの進行や情報共有の円滑化を目指すとしている。
チャットワークの今後の成長戦略は、(1)チャットを起点としたプラットフォーム構想、(2)エンタープライズ市場への参入、(3)アジアを中心としたグローバル展開――の3つ。
具体的には、予定調整や翻訳、チャットボット、勤怠/労務管理、プロジェクト管理、経費精算などの外部サービスとAPI連携できるようにするほか、電話代行やアシスタント業務代行、助成金診断といった労働集約型サービスとの連携も進める。これにより、チャットワークをプラットフォーム化していく狙いだ。
また、中小企業に加え、大企業や金融、官公庁でのチャット利用に必要となるユーザー管理企業やセキュリティ機能を追加・強化していく。さらに、台湾やベトナムをはじめとするアジア各国への営業とマーケティングを強化する。現地企業とのサービス連携や代理店契約を通してチャットワークを拡販し、シェア拡大を目指す。
“谷上プロジェクト”と呼ばれる新しい取り組みも始める。神戸市北区谷上に“チェンジメーカー”となる社会起業家を集め、チャットワークを使って人々の知恵を連携・融合することで、新たなイノベーションを生み出すタネを育てていくプロジェクトだという。これをチャットワークを活用したプロジェクトのモデルケースとし、他の地方でも展開していく計画だ。