インターネット技術タスクフォース(IETF)は、ウェブ上でHTTPSを実現するための重要なプロトコルであるトランスポートレイヤセキュリティ(Transport Layer Security:TLS)のバージョン1.3を承認した。
TLS 1.3は、ロンドンで先週開催されたIETFのミーティングで、IETF関連のエンジニアらによって承認された。これは過去4年間にわたって細部まで論議され、28のドラフトを経て完成したものである。TLSはSSLの後継となるプロトコルだ。
TLS 1.3の主な利点は、多数の旧式な暗号化アルゴリズムを取り除き、より強力な暗号化に対応している点である。
また0-RTT(ゼロラウンドトリップタイム)を導入しているので、ユーザーが頻繁に訪れるサイトとの接続を高速化できるほか、モバイルネットワークの低遅延性を改善できる見通しだ。
大手インターネット企業はこれまでに、TLS 1.3への移行を徐々に進めようとしている。しかし、すべてが順風満帆というわけではなく、ちょっとしたトラブルや障害が起こっている。
「Chrome」「Firefox」などはすでにTLS 1.3のドラフト仕様に対応しているが、デフォルトではない。Cloudflareは、2017年にサーバ側でTLS 1.3をデフォルトで有効にしているが、同社の調査によると、12月にTLS 1.3によってセキュリティが保護されていたトラフィックはごくわずかだった。
これは一つに、ネットワーク機器ベンダーがTLS 1.2を実装した方法にも起因しており、HTTPSトラフィックを監視して検査するネットワーク機器が、TLS 1.3による接続障害を引き起こしている例もある。
Googleが2017年に「Chromebook」のOSを「Google Chrome OS 56」にアップデートした後、10万台以上のChromebookが接続不能に陥ったと報じられた。これはSymantecの「Blue Coat」プロキシアプライアンスが、未対応のTLS 1.3による接続を、TLS 1.2にダウングレードしてネゴシエーションする代わりに、中断してしまったために発生したとされる。
米国の銀行のいくつかが、TLS 1.3へのアップグレードを懸念しているのは、まさにこのためである。これらの銀行は、すでに投資済みのアプライアンスの刷新か、再設計を余儀なくされる可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。