図面や仕様書、部品表などの製品技術情報を一元管理する製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェア「Obbligato」シリーズの新版が発表された。企業のビジネスモデル変革に対応すべく基盤を刷新。グローバルでの開発環境に対応し、使いやすさ、作りやすさ、繋がりやすさを強化した“4代目Obbligato”になるという。2月5日、開発、提供するNECが発表した。
“使いやすさ”という観点では、ユーザー利用時の心地よさと効率を重視したユーザー体験(UX)を追求。直感的に使えるというユーザーインターフェース(UI)を採用した「業務ナビゲータ」、Slackとの連携機能を追加している。また、問い合わせへの自動応答、蓄積した3Dデータからの類似形状部品の検索などには人工知能(AI)を活用し、設計業務の様々な支援機能も実現している。
これらにより、他部門やパートナー、グローバル拠点でもトレーニングなしで展開が可能。新人やグローバル展開時の現地社員などに必要なトレーニングコストの削減もできるとしている。
基盤にはサーバサイドのJavaScript環境「Node.js」、検索エンジン「Elasticsearch」を採用。カスタマイズ言語は「JavaScript」や「TypeScript」などを拡張した。コンフィグレーションからデプロイまでが可能なObbligato用開発ツールも用意し、オープンかつグローバルな標準技術で変化に合わせて拡張できる“作りやすさ”を提供。開発生産性を向上させるとともに、パートナーやユーザーは自身のIT部門主体でのプログラム追加、カスタマイズが可能になるという。それぞれの強みを生かすエコシステムが構築できるとしている。
CADシステムの標準接続ツールの品揃えを強化しつつ、OSSのプログラミングツール「Node-RED」を採用。SFA(営業支援システム)、ERP(統合基幹業務システム)、MES(製造実行システム)などの関連システムやIoT基盤と接続できる。OSSの検索エンジン「Elasticsearch」や可視化ツール「Kibana」とも連携でき、その他のシステムやIoTデータを組み合わせた情報の可視化、分析が可能。今後加速する製造業におけるデジタルトランスフォーメーションに対応し、経営層や他部門も含めた利用できる“繋がりやすさ”を提供するという。企業の継続的なパフォーマンスの最大化に貢献するとしている。
グローバルでの販売体制を強化すべく、2019年4月からパートナープログラムを開始する。24時間英語で問い合わせ可能なサポート体制も整備するという。
今後3年間で200社への販売を目標とし、最小構成の場合の税別価格は300万円から。
Obbligatoシリーズは、NECが自社での実践に基づき開発、提供するソフトウェア。企画から設計、生産、保守に至る製品ライフサイクル全領域に渡って基準情報を管理、集約。デジタルスレッドでデータをシームレスに繋ぎ、顧客ニーズの変化への迅速な対応、製品開発リードタイム短縮、品質向上、製品トレーサビリティの迅速化などを実現するという。
日本特有の相互に調整、組み合わせながらすすめるという“擦り合わせる”ものづくりを支援する業務機能や、設計と生産の情報連携を推進するBOM(Bill of Materials:部品の種類や数量など製品構成情報)ソリューション、BOP(Bill of Process:工程や設備など製造プロセス情報)ソリューションが強みになるという。累計の導入実績は900社以上としている。
Obbligatoの概要(出典:NEC)
NECの試算では、4代目Obbligatoによって開発効率が3割向上するという。旧製品のユーザーには、移行プログラムやツールを提供。新製品への移行性を確保するとしている。
第4世代は6つの特長を持つという(出典:NEC)