「クラウドの操作感が欲しい」に対応--ネットアップHCI戦略の勘所 - (page 2)

阿久津良和

2019-02-27 07:15

 製造業であれば「ライン管理システムはオンプレに置かざるを得ないが、それでもクラウドと同じ操作感覚や運用の容易性を実現できないかという声が大きい」(神原氏)。このような顧客企業の現場が抱える課題を解決するのがNetApp HCIのビジョンだと強調した。

 NetApp HCIの対象市場として、大規模VDI、従来のSoR(System of Rrecords)型業務システム、コンテナベースのアプリやDevOpsでの利用シーンを想定する。

 神原氏は「従来(のVDI)は障害が発生してもサービスを継続する『局所化』や、クライアントソフトウェア性能需要への追従が重要だった。今後はユーザーデータのクラウド連携、GPU性能向上への追従、ハイブリッドマルチクラウドへでのデータ管理が求められる」と語る。

 たとえば前述した医療現場なら、撮影したX線写真を医者がその場で確認するには、クラウドではなくオンプレの方が現実的だ。それでもクラウドが社会に浸透していく状況を踏まえると、GPUによる強化は必然の流れと言える。

 他方で現場の利用者はパブリッククラウドとオンプレといった差を感じず、「透過的にデータへアクセスしたい。他方でIT管理者もオンプレやクラウドを同じポリシーでバックアップしたい。その回答がNetApp HCIである」(神原氏)と、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureはクラウドネイティブのファイルサービス「Cloud Volumes ONTAP」、ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)を構成するソフトウェア製品「ONTAP Select」でクラウド連携を実現すると説明した。

 SoR型業務システムについても「一般的に本番・テスト・開発環境を用意するが、(環境の相違などから)一種のサイロ化が発生する。ポイントはQoS(Quality of Service)」(神原氏)

ネットアップ システム技術本部 ソリューションアーキテクト部 シニアソリューションアーキテクト 大削(おおげ)緑氏
ネットアップ システム技術本部 ソリューションアーキテクト部 シニアソリューションアーキテクト 大削(おおげ)緑氏

 「(NetApp HCIの)ストレージ部分はSolidFire製でQoS機能を備えているため、弊社はストレージ性能を保障している」(システム技術本部 ソリューションアーキテクト部 シニアソリューションアーキテクト 大削緑氏)ことで、クラウド活用と一元管理を実現し、HCIの適用分野が拡大するという。

 最後のコンテナやDevOpsについても、「5000以上の企業が本番管理で利用するKubernetesがコンテナ管理の主流となった。エンジニアも自身のノートPCでコードを書き、クラウドとの環境差で開発が遅延することに耐えられない」(神原氏)からこそパブリッククラウドとオンプレの併用が標準化し、今後も双方のコンテナクラスタを透過的に利用するのが標準化すると指摘。なお、ネットアップはAWSやAzure、Google Cloud PlatformなどでKubernetesクラスタを起動、管理できる「NetApp Kubernetes Service」の提供を開始している。

Skylake CPUを搭載したNetApp HCI H410シリーズ。CPUやメモリの構成が異なる10 SKUを用意。H610シリーズはMaxwell GPU×4のNVIDIA M10 GPUを2枚搭載可能
Skylake CPUを搭載したNetApp HCI H410シリーズ。CPUやメモリの構成が異なる10 SKUを用意。H610シリーズはMaxwell GPU×4のNVIDIA M10 GPUを2枚搭載可能

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