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下期に7業務1万800時間を自動化--「BPRの武器」RPAに統制効かす三井住友信託

阿久津良和

2019-02-28 06:30

 三井住友信託銀行(SMTB)は複数事業の集合体であり、信託業務や銀行業務に加えて不動産も業務対象に含まれる。そのため専門性を問われると同時に顧客需要の多様化に伴う業務の複雑化、受託者として求められる堅牢性を鑑みても、業務量の増加は避けて通れないのは外部から見ても明らかだ。

 これまでも同社は業務効率化や業務プロセス改革(BPR)に取り組んで来たが、大きな転機を見せたのは、やはりロボティックプロセスオートメーション(RPA)の存在である。RPAツール「UiPath」を提供するUiPathが1月30日に開いたイベント「#UiPathForward Japan」にSMTBの担当者が「RPAの保守運用管理の現場から」という講演に登壇した。

 SMTB デジタル企画部 主任調査役 平方壽人氏は「2017年上期から13部署28業務でPoC(概念実証)を実施した。当時は30人ほどの業務改革メンバーを募って取り組んだが、たった3カ月で1万時間の効率化を確認。BPRの強い武器になると直感した」と語る。

三井住友信託銀行 デジタル企画部 主任調査役 平方壽人氏
三井住友信託銀行 デジタル企画部 主任調査役 平方壽人氏

 他方で業務への実践導入に耐えうるのかとの疑問は払拭できず、知見の蓄積が必要と感じた同社は、「過去の経験に照らし合わせると(ロボット開発は)開発者への属人化が発生する。弊社としてはルールを明確化しないと危険だと感じたが、RPAが一過性のブームではなく日本市場に根付くとの判断から中長期的な取り組み」(平方氏)として試すと判断を下した。

 その背景には1万時間削減は推測値であり、ロボット開発や自動化移行に至らないケースが4500時間分あったという。結果として現在は現場に配布していた既存ロボットをすべて改修し、全社横断型プロジェクトチームを立ち上げて、統制を利かせながらBPRを含めた成果を目指す段階にある。

 業務の洗い直しからBPRを徹底実施した上で、選別された案件を開発部隊が標準化とともに開発。現場のインシデントを見ながら可用性を担保していくスタイルを採用。平方氏は「入り口から出口までコントロールしている」と述べつつ、PDCAサイクルを回す土台ができたと説明した。

 このRPA化に伴う導入事例として、2018年上期には提携先企業のローン審査業務をRPA化し、2400時間の削減に成功。同下期は別の提携先企業において類似する枠組みを展開することで5300時間を削減している。このあたりから「ユーザーが勘所を理解し、RPA化を前提とした業務見直しが可能になった」(平方氏)

 SMTB営業店で行っていたローン金利チラシ作成の業務プロセス見直しとRPA化で840時間削減と多く事例を紹介しつつ、「2018年下期だけでも7業務1万800時間の自動化が視野に見えた。ガバナンスとBPRの徹底で現場が変化している」(平方氏)という。

 順調なRPA化を進めるSMTBだが、ロボットのエラーと無縁とは言い切れず、プロジェクトチーム内に設置したヘルプデスクで対応に関する知見を一極に集積している。2018年4~12月末のロボット稼働件数を見ると180%程度の増加率を示しているが、興味深いのはエラー発生率の低下だ。

 同社は先のヘルプデスク対応の他に「知見を(ロボットの)部品をバージョンアップに生かすなど改善活動を重ねることで全体をコントロールしている。(約1年間の取り組みを通じて)標準化はロボット作りに欠かせない」(平方氏)と感想を述べて話を締めくくった。

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