IDC Japanは3月28日、世界全体のブロックチェーンソリューション市場の支出額予測を発表した。これによると、同市場の支出額は2019年には29億ドルに達する見込みで、2018年の15億ドルから88.7%増となる。同市場は2018~2022年の予測期間を通じて順調に増加し、5年間の年間平均成長率(CAGR)は76.0%になる見込み。なお、2022年の支出額は124億ドルになると予測されている。
同市場の支出額を産業分野別に見ると、金融部門が上位を占めており、銀行、証券、投資サービス、保険業界が2019年に11億ドル以上を投資すると見込まれる。また、組み立て製造業界とプロセス製造業界を中心とする製造/資源分野の2019年のブロックチェーン支出額は6億5300万ドル、小売サービス業界と専門サービス業界を中心とする流通/サービス分野では6億4200万ドルがそれぞれ見込まれている。また、製造/資源分野の2018~2022年のブロックチェーン支出額は急増すると予測されており、5年間のCAGRは77.6%が見込まれ、流通/サービス分野のCAGRも77.1%と予測されている。
ユースケース別では、2019年に最大の投資が見込まれる分野は、国境を越えた支払い/決済(4億5300万ドル)と、貿易金融及び貿易/取引後決済(2億8500万ドル)で、いずれのケースでも、銀行業界が最大の投資元になる。製造業のブロックチェーン投資の大半を占めるケースはロット系統/来歴管理と資産/商品管理で、アイデンティティ管理のケースでは銀行、官公庁、医療プロバイダー業界による相当額の投資が見込まれる。
技術別では、ITサービスおよびビジネスサービス(合算)は2019年のブロックチェーン支出全体のほぼ70%を占めており、ITサービスは予測期間にさらに新たな投資を獲得していくことが予測される。サービス以外の分野では、ブロックチェーンソフトウェアで最大の支出額が見込まれる。その5年間のCAGRは81.2%と、ITサービスの82.8%に次いで2番目に高い成長を遂げると予測される。
地域別では、2019年に最大のブロックチェーン支出が見込まれるのは米国で(11億ドル)、これに西欧(6億7400万ドル)、中国(3億1900万ドル)が続く。今回の調査で取り上げた9つの全地域で、2018~2022年の予測期間に支出額の大幅な増加が見込まれる。また5年間のCAGRは日本とカナダが突出しており、それぞれ110%と90%と予測される。