ヴイエムウェアは4月3日、運用管理ソフトウェア群「VMware vRealize」の機能強化を発表した。vRealizeは、データセンター全体をソフトウェアで制御するという、同社が提唱する“SDDC(Software-Defined Data Center)”、同社の「VMware vSphere」で構築されたプライベートクラウドとパブリッククラウドを混在させるハイブリッドクラウド環境の自動運用を実現させるものとしている。
同社が提供するクラウド環境の管理プラットフォーム“VMware Cloud Management Platform(CMP)”はプライベートクラウドではvRealizeシリーズ、パブリッククラウドでは「VMware Cloud Services」になる。オンプレミス向けのvRealizeシリーズとCloud Servicesは機能が重複することになる。
同日開かれた記者会見で同社のSDDC/Cloudチーフストラテジスト 高橋洋介氏は「2つのCMPは顧客需要から成り立つ。顧客の特定情報を分析する場面ではオンプレの必要性が少なくない。だが、将来的にはSaaSで構成されたクラウドシフトが進む」と今後の製品戦略を説明する。
たとえば、ITリソースの利用状況を可視化するソフトウェア「VMware vRealize Business for Cloud」と、CloudHealth Technologiesを買収して自社の技術とした「VMware CloudHealth」は類似した機能を備えるが、マルチバイト対応など準備が整えば、ソリューションとしてはCloud Servicesに統合されることになる。

ヴイエムウェア SDDC/Cloudチーフストラテジスト 高橋洋介氏
vRealizeシリーズの中核となる「VMware vRealize Operations」はプライベートクラウド版CMPであり、性能や容量、コンプライアンスへの対応などを管理、管理するツール。
同じくvRealizeシリーズに含まれる「VMware vRealize Automation」は運用の自動化やセルフサービス環境を構築可能。セルフサービスポータルを作成するとともに、システム環境の払い出し、ファイアウォールや負荷分散装置(ロードバランサー)を組み合わせるブループリントを作成できる。
同じくvRealizeシリーズに含まれる「VMware Integrated OpenStack」はIaaS環境を構築、管理するオープンソースソフトウェア(OSS)「OpenStack」のVMware製ディストリビューション。このほかに「VMware vRealize Network Insight」はネットワークに特化した運用管理ツール、 ログ管理分析ツール「VMware vRealize Log Insight」もvRealizeシリーズに含まれる。
4月末にバージョンアップしてvRealize Operations 7.5やvRealize Network Insight 4.1、vRealize Automation 7.6が提供される。
加えてvRealize OperationsやvRealize Automation、vRealize Log Insight、vRealize Business for Cloudで構成される製品「VMware vRealize Suite」のソフトウェアライフサイクル管理機能をすべて利用できるソフトウェア製品の新版「VMware vRealize Suite Lifecycle Manager 2.1」も提供される。
ヴイエムウェアは自動運用を実現する上で重要なのは「継続的な性能最適化」「効率的なキャパシティ管理」「インテリジェントな問題修正」「各種コンプライアンスとの連携」と定義付け、新機能を解説した。
vRealize Operations 7.5では、ソフトウェア制御ストレージ(SDS)の基盤となる「VMware vSAN」のクラスタ内での再同期化機能、ポリシーベースでストレージを管理するStorage Policy Based Management(SPBM)でワークロードを最適に配置するリバランス機能を実装。vSANベースのハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)の継続的な性能最適化などの機能も搭載している。