日本マイクロソフトと経済産業省は4月5日、「改元を目前に今すぐ実施するべき準備、対応とは」と題した顧客向けセミナーを都内で開催した。4月1日に発表された新元号「令和」に対応するための具体的施策として、Microsoft製品の対応スケジュールや状況をつまびらかにし、ユーザーサイドで実施すべきポイントが語られた。
経産省 商務情報政策局の説明によれば、前回(平成)の改元によるシステムへの影響は、各企業の情報システム部門の統制下にあり、基幹システムに代表されるオンプレミスサーバーが多かったため、大きな混乱を招くこととなった。だが、今回(令和)はシステム連携が煩雑化し、多様なファイル形式やデータ形式を取り扱うため、異なる混乱を招く可能性が高いという。
同省が1月下旬~2月中旬に業界団体へのアンケート(有効回答数2797件)によれば、約60%が和暦使用部分の調査や確認を完了しており、約20%弱が調査、確認中と回答。だが、テストの作業計画に関する立案や実施スケジュールまで確定しているのは約半数にとどまる。同省関係者は「改修の用意は行ってもテスト実施は未計画。インパクトのある結果。計画的に進めてほしいのが政府の考え」だとコメントした。
その上で「5月1日の改元に向けて、使用されているシステムへの改修はコードにとどめず、システム連携などのテストまで確実に行ってほしい。特にOSやAPI、プリンター、フォントなど本番環境を用いるべきだ」と提言、「(テストを終えず)不完全(な状態で新元号に対応できない)ならば、勇気を持ってリリースを持って見送ってほしい」と強調した。
経済産業省による新元号対応における計画・作業ポイント
日本マイクロソフトは自社製品の新元号対応における基本方針として、「5月1日時点で延長サポートを終了していない製品。現時点で和暦に対応している」と2つの条件を提示する。新元号への対応で重要なのが「日付フォーマット変換」「符号位置」「照合順序」「正規化」「フォント」「共通実装」の6つ。
日付フォーマット変換は“西暦--和暦”の形式変換ルールを示し、Unicodeの配置を示す符号位置。和暦による並べ替えの更新を意味する照合順序、文字列検索や比較などに用いる正規化。WindowsやOfficeで用いるフォントの対応や、Unicodeのベンダー共通実装である“Unicode用国際化コンポーネント(International Components for Unicode:ICU)”の共通実装を待たなければならないと同社は説明する。
その上で重要なのが「新元号に対応する文字コードはUnicodeのみ」という点だ。長い歴史を持つシフトJISは合字においてサポート対象外となる。