新元号対応、経産省「不完全な状態でのリリースは回避すべき」 - (page 2)

阿久津良和

2019-04-10 07:00

 シフトJISは当時の通商産業省が規格化し、現在でも広く使われる文字コードだが、ご承知の通り拡張を重ねてきた。日本マイクロソフト関係者は「JISが対応した場合は実装する予定はあるものの、元号改正に伴いUnicodeに移行するISV(独立系ソフトウェアベンダー)も少なくない」と状況を語る。日本においても本格的なUnicodeへの移行が進みそうだ。

新元号に対応するフォント一覧とバージョン情報(予定)
新元号に対応するフォント一覧とバージョン情報(予定)

 独自実装を見送るMicrosoftだが、前述した共通実装はリリースタイミングを不明瞭なものとしている。Unicodeの標準化団体であるThe Unicode Consortiumの計画である“共通ロケールデータリポジトリ(Common Locale Data Repository:CLDR)”の更新やICUの更新を見計らいながら製品対応しなければならない。

 日本マイクロソフト関係者は「社内ですべてが完結していない。日付フォーマットの設定を変えるだけではなく、Windows APIや.NET Frameworkなど影響を受けるコンポーネントは多岐にわたる」ため、4月17日リリース予定の「ICU 64.2」と5月7日リリース予定の「Unicode 12.1」を待って、各製品を更新、そしてリリースに至るとスケジュールを説明する。

 その上で「外部に依存した部分があるため、明確なスケジュールを確約できない」と現状を解説した。現在同社は4月末を目標に新元号対応作業を進めているが、各製品の対応状況は「新元号への対応について」で確認できる。

主な作業と依存関係
主な作業と依存関係

 Windowsによる新元号対応は、レジストリの「HKEY_LOCAL_MACHINE
\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Calendars\Japanese\Eras」キーで元号データの登録を必要とするが、日本マイクロソフトは「一部のアプリケーションや機能は、対応するAPIやコントロールがないと例外を返し、そのままアプリケーションがクラッシュする」ため、レジストリによる手動追加はテスト環境で限定すべきだという。

 さらにテスト時はOSやアプリケーション、フレームワークによる相互依存関係があるため、すべての環境を最新状態に更新して取り組むことを同社は推奨した。また、サードパーティー製コントロールやアドインが新元号へ対応しなければならないため、各ベンダーへの確認も必要になる。

Windows 10によるデモンストレーション。レジストリによる拡張だけでは、ハードコードしたアプリケーションがクラッシュする
Windows 10によるデモンストレーション。レジストリによる拡張だけでは、ハードコードしたアプリケーションがクラッシュする

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