HPE Discover

インテリジェントエッジ強化を進めるHPE--ターンキーソリューションを発表

末岡洋子 2019年06月24日 06時00分

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 Hewlett Packard Enterprise(HPE)にとってエッジは重点分野だ。パブリッククラウドが既存のハードウェア事業に打撃を与える中、エッジは揺り戻しともいえ、ハードウェアベンダーにとっては新規事業のチャンスとなっている。実際に同社 最高経営責任者(CEO)のAntonio Neri氏は、就任後初の大型投資として、40億ドルをエッジに投じることを発表した。

 6月20日まで米ラスベガスで開催された「HPE Discover Las Vegas 2019」では、同社が“インテリジェントエッジ”と呼ぶエッジ分野での発表があった。ここでは、コンバージドサーバー・エッジ・IoTシステム担当最高技術責任者(CTO)のTripp Partain氏に聞いた話を中心にまとめる。

HPE コンバージドサーバー・エッジ・IoTシステム担当最高技術責任者(CTO)のTripp Partain氏
HPE コンバージドサーバー・エッジ・IoTシステム担当最高技術責任者(CTO)のTripp Partain氏

 HPEは、IoT向けのエッジシステムを「HPE Edgeline」ブランドで展開している。Edgelineには3つの特徴があるという。

 1つ目は「データセンターレベルの処理能力」だ。HPEは、それまでIoTゲートウェイのみだったエッジ製品に、2016年のHPE DiscoverでXeonプロセッサーを搭載したコンバージドインフラストラクチャーシステムを加えた。最新のEdgelineを2018年に発表、2019年に発売した「HPE Edgeline EL300」、8月に一般提供を予定しているハイエンドの「HPE Edgeline EL8000」となる。

 「“IoTゲートウェイ”と呼ばれる典型的なIoTデバイスは、ノートPC2台分程度の電力でi5、i7(Intel Core i5/i7)、ベーシックレベルのメモリーを搭載するにとどまる。データを収集してクラウドに送るという役割しか持てないのに対し、HPEのEdgelineは8/16コアなどXeonプロセッサーを搭載しており、ハイパーバイザーを含め通常のデータセンターで動かすのと全く同じソフトウェアが動く」とPartain氏。・コンピューティングリソースの制限がなくなることで、ユースケースが格段に広がっているという。

 2つ目は遠隔操作だ。HPEが通常のサーバーの遠隔操作機能として提供する「iLO(integrated Lights-Out)」を、全てのEdgelineで使うことができる。さらには、デバイス管理用、ビジネス用とiLO通信を分けることも可能という。

 3つ目はOT(Operational Technology:制御系技術)とITの統合だ。CANバス、Modbusなどの産業用のプロトコルを組み込んでおり、コントロールシステムに直に接続できる。「OT専用の機器を別途用意する必要はない。1台のコンバージドシステムに統合できる」(Partain氏)

会場に展示されていたハイエンドの「HPE Edgeline EL8000(左)。耐性に優れた工具箱サイズの筐体にXeon Scalableプロセッサーを搭載し、メモリーは最大1.5TB構成が可能。GPUはNvidia Tesla V100をサポートする。右はHPE Edgeline EL300
会場に展示されていたハイエンドの「HPE Edgeline EL8000(左)。耐性に優れた工具箱サイズの筐体にXeon Scalableプロセッサーを搭載し、メモリーは最大1.5TB構成が可能。GPUはNvidia Tesla V100をサポートする。右はHPE Edgeline EL300

 OT側では、1年前に「HPE Edgeline OT Link Platform」を発表、認定モジュールのエコシステム構築も進めている。

今回のHPE Discoverでは動画解析の展示があった。これについてPartain氏は、「カメラの横にEdgelineを設置して映像を解析するユースケースが増えている」と語る。セキュリティーカメラのような場合もあれば、工場の品質保証(QA)に使われることもあるという。実際、HPEのチェコにある工場でも動画解析を利用したQAを導入、製造ラインを通過するサーバーに対して、指示通りにコンポーネントが配置されているか、正しい配線かをチェックしているという。

 その成果は、「それまでの手動ベースと比較し、最初の確認段階の品質が25%改善した」(Partain氏)という。「サーバー1台当たりのテスト時間を93秒削減した。工場では月4万5000台のサーバーを製造しているので、膨大な節約につながっている」(同)と続ける。

 動画解析を利用した品質管理はHDDなどを製造するSeagateも導入しているほか、日本でも事例が増えているという。「映像を全て中央のデータセンターに送るのはコスト効率が悪く、遅延の問題もある。監視カメラでは95%のデータが不要と言われている」とPartain氏は話す。

 動画解析以外のトレンドとして同氏は、ロボットへの組み込みなども挙げた。

 エッジのセキュリティーについては、「懸念はある。だが、製造に関するものなど機密情報をクラウドに置くことへの不安が、逆にEdgeline導入を加速させている」ともいう。HPEはシリコンレベルのセキュリティーをサーバーなどに導入しているが、これと同じセキュリティーをEdgelineでも標準で実装しているとのことだ。

 今回のHPE Discoverでは、ABB、PTC、Microsoftなどと提携してターンキーのエッジークラウドソリューションを発表した。産業現場ではセンサー、ネットワーク、アプリケーション、クラウドとの接続など、設定が複雑ながら、すぐにスタートできるようにするのが狙いだ。例えば状態監視として、HPE Edgeline OT Link Platformを利用してPTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」を組み合わせた「Fast Start Condition Monitoring」を利用することで、顧客はすぐに状況監視をスタートできる。Microsoft Azureにデータを送り、ダッシュボードで状況を見ることができる「Secure Edge Data Center for Microsoft Azure Stack」も用意する。

 ターンキーソリューションでは、この他に機械やモーターなどのOT機器をモニタリング・制御する「HPE Edgeline IoT Quick Connect」なども発表されている。さらに「Global IoT Innovation Labs」として、米国、スイス、シンガポールの3カ所に顧客とソリューションを共同開発するラボを設置することも発表している。

 HPEのインテリジェントエッジは、Partain氏が担当するコンバージドサーバー・エッジ・IoTシステムとネットワークのAruba Networksで構成されるが、Arubaとの相乗効果もありそうだ。今回はArubaのクラウドネットワーク管理「Aruba Central」の強化も発表されているが、Partain氏によると「Arubaが持つ異常検出などの技術が全体のアーキテクチャで重要になっている」という。

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