全国の不動産会社向けにクラウドサービスを提供するいい生活(港区)では、サポートセンターとしてコールセンターを運用している。
ある日、電車が運転を見合わせ、スタッフの出社がかなわない事態に陥ったという。急遽すべての電話対応をリンクが運営するコールセンターに委託する「アウトソーシングオプション」側へ切り替え。アウトソーサーが回答可能な簡易的な内容は対応してもらい、専門的知識が必要な場合は翌日以降に連絡するという対応をとったという。導入前であれば、被害を予測して会社に泊まり込むか、受付中止を余儀なくされていた事態を乗り切ることに成功している。
設備管理や事故対応サービスなど、災害発生時に問い合わせが増加する業務では回線混雑時の対応を検討する必要があるだろう。不動産業のザイマックス(港区)では、商業施設などの管理運営を代行するファシリティマネジメント (FM) 事業を展開。設備のトラブルや修理手配のサービスの窓口としてコールセンターを運用しており、災害時に問い合わせが増える傾向にある。
東京、大阪の2拠点でいずれも1日の受発信は合計で平均300件だが、2017年10月に台風21号が上陸した際には受信966件、発信723件をカウント。あらかじめコールの予測を集中し、コール割り振りを設定。漏れなく電話対応を行うことができたという。
老舗やスタートアップ企業を問わず、電話サービスの開設に回線工事が必須という固定概念抱き続ける企業はいまだに多い。
これまでの連載で言及した(1)導入コストの抑制(2)多拠点設置の容易さ(3)災害時など緊急時における臨機応変な対応――というメリットの周知は、クラウドPBXを提供する企業にとって急務となっている。刻一刻と変化し続ける日本のビジネスシーンにおいて、柔軟な業務改革を行えるツールであることを、ぜひ多くの方に知っていただきたい。