第3回:万が一の災害でも事業を継続できるクラウドPBXの勘所

坂元剛 (リンク)

2019-07-29 07:00

 自然災害の発生が多く、しばしば“災害大国”などと称される日本。災害発生時には安否確認の殺到、電話回線の混雑といった状況が予想される。

 災害の救援、復旧に関わる防災関連回線などを優先すべく、発信規制や接続規制といった通信制限につながり、大規模災害時は約90%以上も制限されることもある。

 ここ数年の大規模災害時、情報収集、発信を担ったのはインターネットだった。ラジオやテレビではきめ細かい情報が伝わらず、電話もつながりにくい。そんなとき、TwitterなどのSNSを通じ、各個人での情報共有が盛んになった。現在は災害時の情報発信ツールとして活用する自治体も見られる。

 クラウドPBXの場合、電話網の通信制限時でもネット環境による内線通信が可能で、企業内のコミュニケーションを止めずにすむ。また、自社サーバーやデバイス類に被害が発生しても、データ自体はクラウド上にあるため消失することはない。迅速な対応と復旧は、クラウドPBXの最大の強みともいえるだろう。

 総菜メーカーのフジッコ(神戸市中央区)では、既存顧客のインバウンド対応として「BIZTELコールセンター」を導入。阪神・淡路大震災で被害を受けた経験から、現在、コールセンターを神戸本社とアウトソーサーの計3拠点で展開している

 2018年9月、西日本を横断した巨大な台風21号の発生時は、神戸市内の2拠点で早期帰宅を実施。クラウドPBXを活用し、神戸で受けるべき問い合わせを東京拠点へ転送設定し、応答率の低下を防いだ。

 このように、不測の事態に備え、第2、第3の拠点を開設する企業は多い。小規模システムでスタートし、人員の増加に合わせて機能、規模を低コストで拡張するといった運用は、緊急時においてもメリットになるといえるだろう。

 災害発生時は公共交通機関の機能が途絶え、拠点に人員の配置がままならない場合もあるだろう。拠点への通勤が難しい場合では他の拠点で電話対応を引き継ぐことで業務を継続できる。

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