凸版印刷とITベンダーのフィートは7月22日、自治体窓口業務向けの音声翻訳システムを無料で公開した。希望する自治体は所定の手続きをすることで利用できる。
両社は2015~2019年度の5年間、情報通信研究機構(NICT)から委託を受けて、自治体向け音声翻訳システムの研究開発を進めてきた。2019年度は最終年度であるため、これまでの成果を反映した「実証実験用アプリ(最終年度版)」として提供する。実証期間は、2019年7月~2020年1月を予定している。
実証実験アプリ(最終年度版)(出典:凸版印刷)
アプリの特徴は以下の3つだ。
- 外国人の来庁目的である国民健康保険・年金、住民登録、子育て、税金などの手続き担当する窓口で使用される専門用語やコーパス(文章や会話などを蓄積したデータベース)を搭載し、高い翻訳精度を実現
- 従来の英語、中国語、ベトナム語に加え、韓国語、ブラジル・ポルトガル語、インドネシア語、タイ語、ミャンマー語を搭載。8言語全てにNICTのニューラル機械翻訳エンジンが用いられている
- 説明が必要な専門用語を各言語で解説するサポート機能を搭載
この研究開発では、2015年度から東京都板橋区と協力し、自治体の窓口業務を分析することでアプリの開発を進めてきた。2017年からは群馬県前橋市や神奈川県綾瀬市などで実証実験を実施。これらの取り組みの中で得られた知見を生かしてアプリを改善してきたとしている。
神奈川県綾瀬市での実証風景(出典:凸版印刷)
両社の役割に関しては、凸版印刷が窓口業務の課題調査や実証実験における段取りの決定、フィートがアプリのシステム構築やサーバー管理などを担当している。
応募要領や申込用紙などは「自治体向け音声翻訳システムに関する研究開発」からダウンロードできる。手続き完了後、実証実験用アプリ(最終年度版)のダウンロードが可能になる。利用には通信可能なiPadが必要で、対象機種/OSは、第5・6世代iPad、第3世代iPad Air/iOS10.x以降だという。