クラウド型ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを提供するLookerは7月9日、初の年次イベントとなる「JOIN Tokyo 2019」を都内で開催。リクルートグループが「次世代BIのあり方 - Advanced BIとデータガバナンス」と題した講演に登壇し、グループの各担当者によるプレゼンテーション形式で進められた。
人生のライフイベントを目標に各種サービスを展開するリクルートマーケティングパートナーズは、講座動画やテキスト活用したオンライン学習サービス「スタディサプリ」を幅広く展開。2018年度は累積有料会員数84万人、国内導入高校数2575校、授業動画数4万、問題数2万本に及ぶという。
リクルートマーケティングパートナーズ まなび事業統括本部 オンラインラーニング事業推進室 データイノベーション推進部 部長 山邉哲生氏
リクルートマーケティングパートナーズ まなび事業統括本部 オンラインラーニング事業推進室 データイノベーション推進部 部長 山邉哲生氏は「日本国内が国公私立を合計して約4800校だから、約半数にあたる高校が導入」しているとアピールする。
これらの教育ソリューションを運営する上で多くの課題が発生することは想像に難しくない。
リクルートマーケティングパートナーズの場合、独自のデータウェアハウス(DWH)と「Arm Treasure Data」を導入していため、外部のDWHやデータベース(DB)新たに設置するようがなかった。さらにデータモデリング言語「LookML」を用いた構造化情報を操作できる点、BIツールなのにGitHubと連携できる点を「エンジニア心をくすぐる」(山邉氏)と評価。この他にも「大半の操作をAPI経由で実行できる」「各指標の参照性が確認できる」「“カスタマーラブ”のあふれるサポートが付いてくる」と特徴をつまびらかにした。
スタディサプリで稼働中のシステム概要
リクルートマーケティングパートナーズは生徒(会員)の年齢や学歴、所在地域、所属高校など人口統計的な情報を視認できるダッシュボードにまとめ上げ、広告効果測定や学習継続状況、用意したコンテンツの利用頻度など多用的な可視化に取り組んでいる。
興味深いのがSlackを用いた生徒とのコミュニケーションチャネルを用意している点だ。生徒から「リポートのフォントが明朝体で古風だ」といった意見にLookerのエンジニアが耳を傾け、その修正結果もSlackを通じて報告される。ただし、現時点ではスムーズに動作しないため、リクルートマーケティングパートナーズは、SlackにLookerbotのボットユーザーを作成し、API経由で利用者が見たい情報を取得する仕組みで運用している。
リクルートマーケティングパートナーズの取り組みを見る限り、深いレベルでLookerとの連携を可能にしたように思えるが、リクルートマーケティングパートナーズがLookerにアクセスしたのは2018年2月。当時のサンフランシスコオフィスに訪問して、そこから3月いっぱいを試用期間として利用した後、2018年4月から本契約、移管作業に着手した。