アイ・ティ・アール(ITR)は8月8日、国内の従業員エンゲージメント市場予測を発表した。2018年度の売上金額は2017年の8億円から約3倍の23億円に拡大。成長は加速し、2017~2022年度の年平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)は71.9%。2022年度の市場規模は120億円に到達するという。
背景には年功序列、終身雇用といった従来制度の維持が困難になりつつある国内事情があるという。
離職率上昇、人材不足が深刻化し、人材確保を経営の最重要課題の一つにあげる企業が増加。企業経営の安定化に向けた人事施策の一環として、従業員の貢献意欲度合いを計測するアンケートやその集計、分析、改善すべき項目の提示などができる従業員エンゲージメントへの注目度が増しつつあるとしている。
2016~2022年度の従業員エンゲージメント市場規模推移および予測(出典:ITR)
ITRの取締役/シニアアナリストの舘野真人氏は、「人材不足が叫ばれるなか、“組織パフォーマンスや人材維持には金銭やポスト、モノといった地位財よりも、安全、信頼、健康などといった非地位財がより有効”との考え方が浸透しつつあり、重視する企業がホワイト企業と呼ばれ評価される傾向も強くなっている。従業員の組織に対する貢献意欲やモチベーションの可視化と分析を支援する従業員エンゲージメント・ツールは、組織開発や職場環境の健全化を目指す経営層に魅力的なツールとして注目されている。導入、運用自体が人材重視の経営姿勢を内外に示す手段ともなりつつあり、人材の流動性の激しい業種、業態を中心に導入、活用が大きく進む」とコメントしている。