アイ・ティ・アール(ITR)は8月22日、国内のコンテンツ・コラボレーション市場予測を発表した。2018年度の売上金額は前年度比12.7%増の278億9000万円。2018~2023年度の年平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)は7.2%で、2023年度には400億円規模に拡大するという。
文書ファイルなど、業務利用する各種コンテンツをサーバーやクラウド上で共有し、閲覧や編集、共同作業などができるエンタープライズコンテンツ管理(ECM)、文書管理、オンラインファイル共有といった製品、サービスを「コンテンツ・コラボレーション」と総称。
構成するほとんどのベンダーの売り上げが伸長。提供形態別で見ると、2018年度のパッケージが前年度比17.7%増、SaaSは5.8%増になるとしている。
2017~2023年度のコンテンツコラボレーション市場規模推移および予測(出典:ITR)
製品分野別でみると、機密性の高い文書を大量管理する一部企業でECM、文書管理のパッケージでの導入傾向があるものの、全体としてはSaaS移行が進んでいるという。提供ベンダー数は少ないが、ほぼ市場を独占しているトップベンダーが堅調に伸長。業種や企業規模を問わず導入が進むとしている。
オンラインファイル共有は大多数がSaaSとなり、スマートデバイスからのファイル利用、取引先とのファイル交換など、クラウドの利便性によって年々需要が増加しているという。文書の版管理、ワークフローなどの機能を合わせ持つサービスもあり、ECM、文書管理の代替としての利用も増加傾向にあるとしている。
ITRの取締役でシニアアナリストの舘野真人氏は、「働き方が多様化するなか、従業員のナレッジワークを支えるべく、ビジネスコンテンツの場所を問わない共有、活用が強く求められるようになり、SaaSのECMやオンラインファイル共有の需要を拡大させている。一方、規制緩和により法定文書のデジタル保存が認められ、その管理を担うオンプレミスの文書管理システムも依然として注目されている。コンテンツの利用形態や共有範囲に即して複数の製品、サービスを組み合わせて運用する企業が増えており、この動きは今後も続く」とコメントしている。