企業からのデータ流出事件が後を絶たないものの、影響を受けたコンシューマーに対しては、クレジットモニタリングの無償提供や、少額の補償金支払いで片を付け、後は素知らぬふりという企業も多い。こうした状況により、コンシューマーは自らのデータや、その流出の意味するところについてより幅広く理解するようになってきている。
名前や住所、電話番号、社会保障番号、銀行口座情報などが、個人情報の窃盗や、ソーシャルエンジニアリング攻撃、そして場合によっては金銭の窃取の実行に利用される恐れがある。
コンシューマーはより多くの知識を身に付けるとともに、自らのアカウントをセキュアにしておく方法を学ぶよう迫られるなかで、情報を要求してくる企業に対して、データ保護の責任をしっかり担うよう求めるようになっていくと考えられる。
IBMが発表した、データ保護にまつわるコンシューマーの理解や期待に関する新たな調査の結果は、こうした考えを裏付ける内容となっている。
The Harris Pollが米国の18歳以上の成人1000人を対象に実施した8月のこの調査によると、半数以上がサイバー攻撃で自らがデータ侵害の被害に遭った、あるいはそうした被害に遭った人を知っていると回答している。
また、コンシューマーの10人に7人は自らの情報を企業に渡した後、その情報が該当企業にとどまらないかもしれないと認識しており、最終的にサードパーティーの手に渡る可能性があるとも考えている。
コンシューマーの間では不満が高まっているようだ。IBMも「コンシューマーは、自らのデータの扱われ方について、多くの企業に明らかな不満を抱いている」と述べている。
この調査の回答者の大半(84%)は、自らの個人データが企業によってどのように処理、あるいは利用されるのかにまつわる「すべての統制権」を失っていると述べており、3分の2の回答者は、こうした統制権を得た企業が該当データを侵害から保護するためにもっと努力すべきだと考えている。
このような責任を全うするための真剣な取り組みを続けている企業にとって、潮目は良い方向に向かっている。合計すると、コンシューマーの53%は企業とのやり取りを進めるにあたって、そのデータ保護統制を考慮に入れると答えており、64%はデータの安全性を維持する取り組みに懸念があることを理由に企業と関わらない選択をしたことがあるとしている。
またコンシューマーの83%は、企業の製品やサービスがいかに素晴らしかったとしても、自らの情報が同意なしにサードパーティーと共有された場合、その企業との縁を切ると答えている。