日本マイクロソフトの新社長に10月1日付で就任した吉田仁志氏が翌2日、記者会見を開いた。本コラムでは、質疑応答での筆者の質問を含めて3つの疑問に注目してみた。(写真1)

日本マイクロソフトの新社長に10月1日付で就任した吉田仁志氏
なぜ吉田氏が日本マイクロソフトの新社長に就いたのか
1つ目は、米Microsoftはなぜ日本法人の新社長に吉田氏を選んだのか。これについては、会見に同席したMicrosoft アジア担当プレジデントのRalph Haupter(ラルフ・ハウプター)氏が次のように話した。
「私は吉田さんと2年ほど前にお会いし、IT業界に深い知識を持ち、経営者としての評判が高いことも知っていた。また、日本マイクロソフトはパートナービジネスが主体だが、吉田さんはまさしくパートナー企業の出身なので、さらにパートナーとの関係強化を図っていくことができると確信している」
同じく会見に同席した日本マイクロソフトの前社長で特別顧問の平野拓也氏は次のように語った。
「当社は日本の社会変革に貢献することを目指しており、私の後任にもそういう強い思いと、当社に対してパッションを持っている人に就いてもらいたいと考えていたところ、吉田さんに強くそれを感じた。吉田さんとはパートナーとして長くお付き合いしてきており、経歴としても海外で学び、国内外のITビジネスに精通していることも、後任に相応しいと考えた。私としては引き続き、日本の社会変革に貢献できるように、今のモメンタムを吉田さん独自のスタイルでどんどん広げていってもらいたい」
両者のコメントから筆者が感じたのは、吉田氏への強い「信頼感」だ。関係者によると、吉田氏の新社長就任に向けた動きは半年以上前から始まっており、水面下で調整が行われていたようだ。もちろん、新社長候補としては社内外に複数いたとみられるが、どうやら早い段階から本命は吉田氏だったようだ。両者のコメントにはそのニュアンスが感じられた。
2つ目は、吉田氏が日本マイクロソフトの新社長に転身したのはなぜか。同氏は平野氏の「日本の社会変革に貢献」という言葉を引き取って、次のように述べた。
「IT業界に長く携わってきた身として、ぜひ日本の社会変革に貢献したいという思いが強くなってきた中で、日本マイクロソフトの社長ならば、それを最も力強く推進できるのではないかと考えた。グローバルで大きな影響力のあるMicrosoftの一員になれたことを本当に嬉しく思っている」
これは本音だろう。ITベンダー社長としての吉田氏の経歴を見ると、ノベル、SAS Institute Japan、日本ヒューレット・パッカード、そして日本マイクロソフトと、着実にステップアップしてきた印象がある。1961年7月生まれの58歳。ご自身としてもビジネス人生の集大成といった感じがあるのではないだろうか。(写真2)

左から、日本マイクロソフト前社長で特別顧問の平野氏、新社長の吉田氏、Microsoft アジア担当プレジデントのHaupter氏