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コニカミノルタ、DX事業の国内展開に本腰--中小企業向けサービスを拡充

國谷武史 (編集部)

2020-01-29 10:15

 コニカミノルタとコニカミノルタジャパンは1月28日、都内で事業戦略説明会を開催し、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関するビジネスの国内展開を本格化させると表明した。複合機(MFP)やITサービスを組み合わせたプラットフォーム「Workplace Hub」を通じて提供するサービスなどを拡充する。

 コニカミノルタは、2017年にWorkplace HubによるDX事業を欧州で立ち上げ、国内では2019年4月にWorkplace Hubと連携するMFPを投入するなど、事業展開を進めてきた。

 コニカミノルタ 常務執行役 デジタルワークスペース事業 DXブランド推進 IT担当の仲川幾夫氏は、これまでグローバル市場向けにWorkplace Hubを中核として、ITインフラの構築、ワークフローの改善、システムインテグレーションを絡めたソリューションを提供し、企業顧客のオフィスの“デジタル化”で実績を積み重ねてきたと述べ、先進的な顧客では映像データを通じた行動分析の知見をマーケティングに活用する段階に到達していると紹介した。

コニカミノルタ 常務執行役 デジタルワークスペース事業 DXブランド推進 IT担当の仲川幾夫氏
コニカミノルタ 常務執行役 デジタルワークスペース事業 DXブランド推進 IT担当の仲川幾夫氏

 同社は、こうした企業顧客のDXの姿を「インテリジェント コネクテッド ワークプレース」と呼び、そこに至る道のりを成熟度別の段階で表現する。仲川氏は、その現状について“レベル0(紙文書に縛られた職場)”は18%、“レベル1(業務プロセスのデジタル化が開始)”が54%、“レベル2(職場がデジタルで接続されどこでも働ける環境)”22%と紹介。デジタルによって人や知見がつながり、いつでもどこでも価値創造をしていくという“レベル3”がインテリジェント コネクテッド ワークプレースの姿であり、企業がこのレベルに到達するための支援に注力すると語った。

 事例では、ITインフラの老朽化対応や複数ベンダーの不十分なサポートに不満を抱えていたというフランスの電気技師組合がITインフラをWorkplace Hubに切り替え、ベンダーとの契約もコニカミノルタを通じて一本化したことで、課題を解決したという。また、米国の製造企業では、設計業務の高度化をコニカミノルタが支援し、セキュリティ要件やデータ量に応じてクラウドやエッジを柔軟に使い分けられるITインフラを構築している。

コニカミノルタにおけるDXのアプローチ
コニカミノルタにおけるDXのアプローチ

 この他に、顧客データや店舗などの現場データと外部データを組み合わせた高度な分析基盤を構築するプロジェクトや、オフィスを含めた“働く場所”全体の空間デザインを実現するプロジェクトなども進行中だという。

 仲川氏は、同社のDXビジネスのビジョンが、企業顧客のDX化を支援すると同時に、働く人(プロフェッショナル)にもその効果を波及させることで“働き方”そのものを変革し、「ひいてはそれが市民や社会の抱えるさまざまな課題の解決につながる」と説明した。

 国内も、少子高齢化や労働人口の減少などに加え、「働き方改革」の視点からも企業のDX化が急務だとする。コニカミノルタ 執行役 コニカミノルタジャパン 取締役副社長 情報機器事業管掌の大須賀健氏は、「事務機で培ったビジネスモデルの進化、パートナーとの共創、最適なサービスの提供を通じて、顧客が付加価値を創造するための仕事にシフトする環境づくりを目指す」とその方針を表明した。

コニカミノルタ 執行役 コニカミノルタジャパン 取締役副社長 情報機器事業管掌の大須賀健氏
コニカミノルタ 執行役 コニカミノルタジャパン 取締役副社長 情報機器事業管掌の大須賀健氏

 欧州でのWorkplace Hubの立ち上げから国内展開の本格化までに1年以上を費やしているが、これはDXに向けてコニカミノルタグループ内部での実践を通じたノウハウの蓄積、また、Linux主体の海外とWindows主体の国内という異なるIT環境への対応準備などがあったという。

 コニカミノルタグループの事例としては、RPA(ロボティックプロセスオートメション)をコニカミノルタジャパンでは約30業務、グループ全体では約200業務に適用した。請求書の抽出と伝票入力の定型業務に要する時間を約7割短縮したが、適用範囲はマーケティングや製品開発などにも広がっている。働き方改革にも2013年から取り組み、大須賀氏によれば、残業時間の15%削減、紙文書の90%削減、印刷量の15%削減、社員の生産性の7%向上といった成果を出しているという。

 国内のDX事業は、こうした自社実践で得たノウハウを活用することで、約20万社という中小企業顧客における働き方の“デジタル化”を支援する。

国内のDXビジネスでは、利用者(社員)、IT担当者、経営者それぞれに向けたDXのシナリオを用意
国内のDXビジネスでは、利用者(社員)、IT担当者、経営者それぞれに向けたDXのシナリオを用意

 5月には、Workplace Hubの国内向け新モデルとしてMFP一体型の「Workplace Hub Smart」を投入するほか、Workplace Hubの新たなアプリケーションサービスではアステリアと協業する。4月に、異なる複数の表計算ファイルから必要なデータを抽出して、月次レポートなどの作成と関係者への配信までの業務フローを自動化する「ASTERIA Warp Core Workplace Hub Edition」を提供する。また、2019年4月に協業を発表したJBサービスとも、新たにセキュリティ監視センター(SOC)から顧客企業のIT環境のセキュリティを遠隔監視するオプションメニューを提供する。

5月に開始する「Workplace Hub Smart」の全体イメージ。2019年4月から提供する「Workplace Hub Entry」でのノウハウを生かしてDX事業を本格化させるという
5月に開始する「Workplace Hub Smart」の全体イメージ。2019年4月から提供する「Workplace Hub Entry」でのノウハウを生かしてDX事業を本格化させるという

 DX事業の国内展開について大須賀氏は、「われわれがITベンダーになるわけではないが、(日本企業の)96%を占める地方の中小はなかなかITベンダーの支援を受けることができず、われわれが窓口となってDXを支援したい。(2019年)10月にDXの営業体制を作り顧客に提案して回る中では多くの要望や期待をいただいている」と述べた。

 コニカミノルタジャパン全体に占めるDX事業は現状で14%ほどだが、2022年度に22%に引き上げる計画だという。大須賀氏は、「事務機とその周辺ビジネスには競合もいて既に差別化が難しいが、長年の事務機で培った顧客の信頼は重要。そこにビジネスにまつわるデータを集め、活用していくことで付加価値を創造することがサイバーフィジカル時代の強みなる」とも話し、同社のDXが従来型のビジネスモデルを大きく転換するのではなく、デジタル時代に即して発展させていくものだと説明した。

 また、DXに対する企業の認知や取り組みも海外と日本で異なるという。仲川氏によれば、Workplace Hubを通じて提供するアプリケーションやサービスの種類は市場ごとに違い、同社はそのプラットフォームに注力しているという。

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