ガートナー ジャパンは、国内におけるカスタマーエクスペリエンス(CX)への取り組みに関する調査結果を発表した。
これによると「CXプロジェクトが進行中/稼働済み」と回答した企業の割合は全体のわずか6.6%で、「検討中」を含めても17.4%と、取り組んでいる企業は全体の2割に満たなかった。ガートナーは2017年以降、国内におけるCXの取り組み状況を調査しているが、「CXプロジェクトが進行中/稼働済み」と回答した企業の割合は2017年が5.4%、2018年が4.2%、2019年が6.6%と、あまり増えていない。
また「CXを知らない/分からない」と回答した企業の割合は27.9%、「自社には必要ない」という企業も18.3%あった。「必要だが未検討/検討に入ったが進捗が遅い」と回答した企業の36.4%を加えると、全体の8割以上がCXに取り組んでいない結果となった。
規模別に見ると、従業員数2000人以上の企業では35.9%で、全体の17.4%と比べて2倍近く高い。だが同時に、6割以上が取り組んでいないともいえる。
日本におけるCXプロジェクトへの取り組み状況(全体・従業員数規模別の内訳)(出典:ガートナー ジャパン)
さらにCXに取り組んでいると回答した企業に、CXの推進責任者について尋ねたところ、CXの取り組みを主体的に進めているのは「営業担当役員」が39.6%で最も多く、次いで「役員やリーダーはいない」(19.3%)、「役員でない特定のリーダー」(16.4%)だった。
日本におけるCXの推進責任者(出典:ガートナー ジャパン)
ガートナーによると、CXは企業が顧客に何らかの働きかけを行った結果、顧客が得る認識などを通して得られるビジネス上の付加価値を指すものであり、全てのCXプロジェクトにテクノロジーが必要とされるわけではないという。一方で、ビジネスの差別化につながる顧客中心的なCX施策を推進するに当たりデジタルやテクノロジーの必要性が年々高まっている点は見逃せないとしている。そして2022年までに、3分の2のCXプロジェクトがITを活用すると予測している。