ガートナー ジャパンは、今後3年間で企業のカスタマーエクスペリエンス(CX:Customer eXperience)プロジェクトに大きな影響をもたらす先進テクノロジーのトレンドのトップ5を発表した。
1.AI(人工知能)
ガートナーはAIのテクノロジーを大きく3タイプに分けている。1つは人間のようなエンゲージメントをもたらすシステムであり、コンピュータービジョン、チャットボット/エージェント、自然言語ベースのユーザーインターフェースを挙げている。2つ目は自動化と最適化のためのテクノロジーであり、自己最適化スマートマシン、自律走行車、リアルタイム脅威検知システムなどが挙げられる。3つ目は、データ、画像、音声に基づく隠れたシグナルや予測からインサイトを導き出す、ディープニューラルネットワークなどの高度なテクノロジーとなる。
同社では、AIテクノロジーはテキスト、感情、音声、インタラクション、IoT(モノのインターネット)、さらには従来のサーベイ分析を強化し、リアルタイムでの顧客インサイトをもたらすとともに、CXの精度を改善をうながすとしている。さらに2023年までに、デジタルコマースにAIを活用する企業の80%が、顧客満足度、売り上げ、コスト削減のいずれかにおいて少なくとも25%の改善を達成すると予測している。
2.仮想顧客アシスタント/チャットボット
ガートナーの「2019年CIOアジェンダ・サーベイ」において、CIO(最高情報責任者)の26%は、自社で使用しているAIベースのメインアプリケーションがチャットボットであると回答している。同社は、2030年までに顧客サービスに関する10億件のリクエストが企業所有のボットによって自動生成されると予測しており、仮想顧客アシスタントやボットは、膨大かつ反復的な顧客サービスのリクエストに24時間体制で対応する役割を果たすことになる。
3.マルチチャネル顧客エンゲージメント
マルチチャネル顧客エンゲージメントは、顧客とやりとりを行う全てのチャネルとデバイスに対応し、顧客エンゲージメントルール、コンテンツ、ワークフローを処理する。顧客とのあらゆるチャネルでのエンゲージメントは、AI機能によって自動化されパーソナライゼーション、高度なアナリティクス、ビデオチャット、共同ブラウジング、モバイルサポートの利用が促進される。ガートナーでは2022年までに、顧客サービス応対では、機械学習、チャットボット、モバイルメッセージングアプリなどの先進テクノロジーが活用され、その割合が2018年の15%から70%にまで伸びると予測している。
4.イベント駆動型アーキテクチャー
イベント駆動型アーキテクチャー(EDA:Event Driven Architecture)は、リアルタイムに知覚するデジタルビジネスの中核となるテクノロジーになる。企業は、IoTデバイス、モバイルアプリケーション、エコシステム、ソーシャルネットワークやビジネスネットワークなどのイベント情報を「聞く」ことで、物理的な世界の「イベント」をデジタル形式で捉える。ガートナーでは、2022年までに、顧客エンゲージメントハブアーキテクチャーに取り入れられるリアルタイムのイベントストリーミングやストリーミングアナリティクスは10%超にとどまるとしている。
5.IoT
ガートナーでは、2022年までに、230億のモノがインターネットにつながるようになるとし、IoTデバイスはさらにインテリジェントになり、家庭や医療施設を含むあらゆる場所で、AI対応システムの能力を潜在的に提供するようになるとしている。また、モノが顧客である場合、企業は所有者となる人間のCXを最大化することに注力しなくてはならなくなる。その場合、モノの顧客についてのカスタマージャーニーを作成するには、モノと所有者である人間ならびに所有者とモノのインターフェースに対処する必要があるとしている。