「ペーパーレスの実現、どこにいても会社にいるのと同環境で仕事ができるインフラを整備していくべき。紙の証票が多いので、電子化できる環境を構築する必要がある」――。
一般社団法人の日本CFO協会(千代田区)が4月6日に発表した、新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響に関する調査でこうした声が明らかになっている。最高財務責任者(CFO)をはじめ経理や財務の部門の幹部を対象に3月18日~4月3日にオンラインでアンケート調査した。回答数は577人。
新型コロナウイルスによる業務への影響について、決算業務では75%、財務業務では71%が「影響あり」と回答。具体的には、決算業務では「海外拠点・子会社からのデータ収集の遅延」「連結決算の遅延、監査対応の遅延」「業績悪化・来期業績予測」「有報記載のリスク情報の検討」「リモート対応による認識の齟齬」「リモート対応で全ての決算処理は不可能」など、財務業務では「有価証券の評価減」「資金計画・資金調達」「在宅の限界(現物確認、原稿振込)」などが挙げられた。
2~3月のテレワークの実施状況について、7%が「強制的に実施」、34%が「強制していないが強く推奨」、28%が「推奨しているがあまり実施せず」、26%が「実施も推奨もせず」となっている。
2~3月のテレワークの状況(出典:日本CFO協会)
テレワークを実施または推奨した約70%のうち、「テレワーク実施中に出社する必要が発生した」という回答は41%。出社理由は「紙の書類の処理(請求書・証憑書類・押印手続・印刷)」「会議への参加」「打ち合わせ」「銀行対応」などがあり、テレワークへの取り組みは広がったものの、自宅や社外では対応できない業務もまだ多いと分析している。
また、テレワークを実施しなかった約30%は「書類や証憑証跡のデジタル化がなされていない」「外部関係者(銀行・監査法人・税理士・社労士・システム会社・コンサルティング会社など)とのリモート対応が不可能」「自部門、連携部門にウェブ会議ツールがない」「PCを家に持ち帰ることができない」「会計システム含む社内システムがクラウド化されていない」「外部から社内の業務システムにアクセスできない」などの理由が挙げられた。