IDC Japan、5段階で分類する国内企業のクラウドでのデータ管理成熟度を調査した結果を公表した。最多は、第2段階の「途上前期」(データ運用の仕組みを整備している途上であるが、改善点が多く残っている状態)だったと分析している。
調査は従業員100人以上の企業を対象に、組織内全体のデータ管理(データの整合性/品質の維持、障害からの回復、セキュリティやコンプライアンス維持の全て)に関わる担当者へウェブでアンケートした。
同社は独自に以下の5段階のデータ管理(データ運用の状態)成熟度を定義している。
- 未整備:データ運用の仕組みの大部分が未整備な状態
- 途上前期:データ運用の仕組みを整備している途上であるが、改善点が多く残っている状態
- 途上後期:データ運用の仕組み整備が進み、課題を残す部分が少ない状態
- 要件充足:データ運用の仕組みが組織全体に整い、ビジネス要件を満たした状態
- 迅速な適応:データ運用の仕組みがシステマチックに組織全体に整い、規制や競合などの環境変化に素早く対応できる状態
成熟度の分布は、「データ利用度」「クラウドとのデータ連携」「データ分析能力/人材などのリソース」「データ品質の整備状況」「データガバナンスの状況」「データ管理ソフトウェアによる自動化」「データ活用の業務への貢献度」の7項目で集計し、その結果、「未整備」「途上前期」に当てはまる企業が半数以上を占めた。
従業員100人以上の企業でのデータ管理における成熟度分布、出典:IDC Japan
同社エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は、「デジタル変革への取り組みが進む中で、クラウドサービスの利用は大きなメリットをもたらしているが、データ運用の点では、マルチクラウド連携、コンプライアンス順守、コストコントロールなど新たな要件が加わる面もある。一部のユーザー企業は既に効果的な仕組みでデータ運用の課題に対応しているが、多くの場合、環境整備は十分とは言えず、データ運用基盤の戦略的な再構築が求められる状況にある」とコメントしている。