住宅ローン向けシステムに見るコンテナー技術採用の理由

國谷武史 (編集部)

2020-06-16 07:00

 不動産テック企業のGAテクノロジーズは、不動産業界向けのITサービスを展開する子会社「RENOSY X(リノシークロス)」を2019年12年に立ち上げ、同社を通じて業界初というオンライン型の住宅ローン申し込みプラットフォームサービス「MORTGAGE GATEWAY by RENOSYを提供する。金融機関も利用するサービスでコンテナーによるサーバーレスアーキテクチャーを採用している点が特徴的だ。

 同サービスは、不動産の購入客と不動産会社、ローン審査を行う金融機関、不動産登記を行う行政書士をオンラインでつなぎ、不動産や住宅ローンなどにまつわる情報の共有や各種手続きなどをできるようにするもの。GAテクノロジーズは、不動産業界向けのさまざまなITサービスを開発しており、それらを外部顧客へ提供するためにリノシークロスを設立している。

 事業化の背景についてGAテクノロジーズの専務取締役執行役員でリノシークロスの代表取締役を務める清水雅史氏は、「以前にSBJ銀行と共同開発した住宅ローンプラットフォームをベースに、不動産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すべく立ち上げた。不動産取引の新しい形を作り上げたい」と話す。

 同サービスが対象とする住宅ローンには、異なる業界の企業や専門家、個人が関係している。Product Development Divisionでサービスを担当する日平大樹氏によれば、その複雑な関係性から業務上のやりとりはほとんどが紙文書や電話などで行われ、一連の手続きが完了するまで長時間を要することや多数の案件を紙ベースで管理する煩雑さ、情報の不透明さなどが課題になっている。

「MORTGAGE GATEWAY by RENOSY」ではオンラインによる業務効率化や情報共有化を目指すという
「MORTGAGE GATEWAY by RENOSY」ではオンラインによる業務効率化や情報共有化を目指すという

 「特に不動産会社は中小が多く、社内にも買い手と売り手をそれぞれに担当する仲介部門あるなど関係先が非常に多い。加えて、ローンの審査や返済といった状況に応じて関係する金融機関が異なるケースもありとても複雑になっている。個々の企業で効率化をしても限界があり、プラットフォームとして関係者をつなぐことで全体での業務効率化や情報活用の実現を目指している」(日平氏)

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