Box Japanは6月19日、企業のニューノーマル化に向けた同社の取り組みと支援について、報道機関を対象としてオンライン説明会を開催した。
まず、同社のビジョンについて説明した米Boxの共同創業者で会長兼CEO(最高経営責任者)のAaron Levie氏は「世界は3カ月前と根本的に変わった」との認識を示し、新型コロナウイルスの影響の大きさを指摘した。
その変化を示す具体的な数値として、同氏はBoxとともに使われているツールの2~3月にかけての伸びをデータで紹介した。それによると、オンラインでのファイル編集に使われるオフィススイートの伸びが20%弱だったのに対し、「Zoom」や「Webex」といったビデオ会議は70%ほど、「Slack」や「Microsoft Teams」といったメッセージングが80%超という急激な伸びを示しており、「コラボレーションのオンライン化」という傾向が明確になっている。
Boxと併用されるツールの伸び率
こうした変化を踏まえて「進むべき道は従来のビジネスをそのままクラウドに移行することではない。テクノロジー、プロセス、ビジネスモデルといったことを根本から考え直さなければならない」(Levie氏)とし、さらに変化を拒む障壁が従来型のコンテンツ管理手法だと指摘。コンテンツ、ワークフロー、コラポレーションをセキュアに一元管理できるプラットフォームの必要性を強調し、それこそがBoxの提供しているクラウドコンテンツ管理だと位置付けた。
続いて、Box Japanの代表取締役社長である古市克典氏は「BBB(Build Back Better:より良い復興) by Box」というテーマを取り上げた。同氏はまず、Box Japan自体がリモートワークに取り組んだ結果を紹介した。約140人の従業員に対するアンケートでは、「リモートワークのパフォーマンスへの影響は?」という質問に対して「かなり気分またはパフォーマンスが落ちている」が20%、「少し落ちている」が26%という結果だったという。
Box Japan社内でのアンケート調査結果
同氏自身は「Box Japanはシリコンバレーに近いワークスタイルだし、普段からITツールを使いこなしていることもあって、リモートワークになってもパフォーマンスが落ちるということもないのでは」と考えていたそうなので、この結果は意外だったという。
パフォーマンスが落ちた理由を探ってみると、「社歴が短い、独り暮らし、共働き/子育て中」といった環境面の問題が原因になっていたり、あるいは「議論がやりにくい」といったり業務の内容による向き不向きなどがあることが分かったという。これを踏まえて、同氏は「リモートワークとオフィスワークは両方必要であり、どんな業務がリモートワーク向きかを見極めてオフィスワークとリモートワークをうまく組み合わせていく必要がある」と指摘した。
また、新型コロナの流行によって多くの企業がリモートワークを一気に採り入れることになった現状について、「これまではさまざまな理由で避けてリモートワークを多くの企業が一気に採り入れた結果、これまでが“食わず嫌い”であったことが明らかになり、“やってみたら意外に良い”という反応になった」との考えを示した。
さらに、今後の揺り戻しといった懸念に対しても「人は一度手に入れた利便性は手放さないものだ」と語り、今後リアルでの業務が可能になってもオンラインを手放すことはないだろうと予測した。
古市氏は、リモートワークを採り入れた企業で課題となるのがコンテンツの分散という問題だと指摘する。さまざまなクラウドサービスやオンラインストレージ、ローカルディスクにコンテンツが分散し、それぞれが個別に更新されることで管理不能になってしまうとした。
この問題の解決法としては「コンテンツを一箇所に集められればほとんどの問題が解決する」とする一方で、それは「言うは易く行うは難し」だとも指摘。適切なコンテンツ管理機能を備えたプラットフォームがなくては簡単には実現できるものではないとした上で、それを可能とするBoxの優位性を強調した。実際に、新型コロナの影響下で同社の業績は拡大しており、特に「官公庁/自治体」「中堅/中小」「金融」「関西/中部」という4つの領域で特に成長が著しいとした。
Box Japanが実施した各種コロナ対策支援策の例