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Mac向け独自チップ「Apple Silicon」と最新OS「Big Sur」登場--CPU変更は14年ぶり

山川晶之 (編集部)

2020-06-23 06:30

 アップルは6月23日、オンライン限定としては初開催となる「WWDC Special Event」にて、macOSの新バージョン「Big Sur」を発表した。UIなどのアップデートに加え、これまで長年使い続けてきたIntelのx86コアから、Armベースの「Apple Silicon」をサポートする。

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「A12Z Bionic」上で動作する「macOS Big Sur」

 Appleでは、これまでにMacのCPUを複数回刷新している。まずは、Macintosh 128Kなどで導入されたモトローラの「MC68000」系統(通称68K)プロセッサ、次に1993年に登場した「PowerPC」系統、2006年にはIntelのx86アーキテクチャに移行し現在まで使用している。今回、14年ぶりにIntelプロセッサに代わって、Apple自社開発プロセッサ「Apple Silicon」への移行を発表した。

 Apple Siliconは、iPhoneやiPadなどに搭載されているAシリーズプロセッサをベースとしており、低消費電力かつワットあたりのパフォーマンスに優れている。同社では、iPhone 4、初代iPadで採用されたA4チップから自社で開発(2008年にArmプロセッサを設計するP.A. Semiを買収)しており、2019年のA13に至るまで10世代に渡って改良を続けている。

 結果、CPUの処理速度は100倍に向上したほか、GPUを強化したiPad向けのAプロセッサの場合、GPU性能でも100倍の処理速度を達成したとしている。なお、Apple Watch、iPhone、iPadなどに搭載されたArmプロセッサの総出荷数は10年間で20億個に上る。

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「Apple Silicon」の特徴一覧

 こうしたモバイルデバイスで培った、低消費電力と高パフォーマンスをMacに移植することで、電力や熱の制約でパフォーマンス向上が難しかったノートブックデバイスでも処理速度の向上が期待できる。さらに、Apple Watchから、iPhone、iPad、Macにいたるまですべての製品群で同じアーキテクチャを利用するため、アプリ開発が容易になる。

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「Apple Silicon」が目指すのは低消費電力と高パフォーマンスを兼ね備えたチップ

「Apple Silicon」に対応した最新mac OS「Big Sur」

 Big Surは、半透明による階層表現などメニューバーやDockなどのコア機能でUIを刷新したほか、ウィジェットにも対応。ウィジェットギャラリーにアクセスし、ホーム画面の任意の場所に配置することができる。また、Safariでは「WebExtension API」をサポート。拡張機能を導入できる。さらに、マシンラーニングを活用したアプリを作成しやすくなったほか、iPadアプリからMac版を構築できる「Mac Catalyst」を内蔵する。

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「Big Sur」では、ウィジェットやUIのテイストを刷新

 Big Surでは、「Final Cut Pro」や「Logic Pro」といったプロフェッショナルアプリを含む純正アプリすべてがApple Siliconにネイティブで対応。さらに、MicrosoftやAdobeとの協力により「Word」や「Excel」などの「Office for Mac」に加え、「Lightroom」といった一部の「Creative Cloud」アプリはネイティブアプリ化したとしている。なお、iPhoneやiPad向けアプリをMac上で使うこともできる。

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「Apple Silicon」にネイティブアプリ化した「Word」

 なお、ネイティブアプリの開発は新バージョンの「X code」が対応する。既存のプロジェクトを開いて再コンパイルするだけで数日でApple Siliconに最適化されるほか、「Universal 2」により、Apple Silicon搭載MacでもIntelベースモデルのサポートをシングルバイナリで実現できる。また、仮想環境「Virtualization」も導入し、LinuxやDockerなどのツールも動作する。

 PowerPCからIntelコアに移行したときには、PowerPC向けアプリをIntelコアで動かす「Rosetta」を搭載していた。今回、Intelベースのアプリをエミュレートする「Rosetta 2」を用意。Apple Siliconでも高いパフォーマンスを維持するほか、インストール時にアプリケーションを変換。高速での起動が可能になる。さらに、リアルタイムでの変換も可能で、JITコンパイラやJavaコードのブラウザにも対応し、複雑なアプリケーションでも動作可能という。

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IntelからArmベースへの移行は、「Universal 2」「Rosetta 2」「Virtualization」 などで全面カバーする

 キーノートのデモでは、Rosetta 2を使ってMayaをデモ。600万ポリゴンのCGファイルにテクスチャを足してもなめらかに動かす様子を披露した。また、App Storeですでに公開されているトゥームレイダーの動作も披露。iPad Proで使用されているA12Z Bionicコアでも、1080pでスムーズにプレイ可能という。

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「Rosetta 2」のデモ。600万ポリゴンにテクスチャを貼った状態で「Maya」がスムーズに動作する

 Appleではいち早くApple Siliconに対応した開発環境を試せるよう「Quick Start Program」を用意。資料やサンプルコード、フォーラム、DTSの優先サポートインシデントを用意。さらに、Developer Transition Kitとして、Mac miniの筐体にiPad Pro用のA12Zコアを搭載した開発ハードウェアを用意する。詳しくは、別記事にて紹介する。

 同社によると2020年末までにApple Siliconを搭載した最初のMacを出荷し、2年ほどで移行を完了させる予定。ただし、Apple CEOのティム・クック氏によると、今後もIntelベースのMacをサポートする予定で、Intel搭載Macもリリースするという。

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