コロナ禍での強制的なテレワーク--潜在するセキュリティリスクの再整理が必要 - (page 2)

阿久津良和

2020-07-27 06:45

 また、利用環境は「勤務先で使っているPCを持ち出し、常に社内ネットワークへ接続して使う(45.1%)」が1位だったものの、「勤務先で使っているデータをUSBメモリーで持ち出し、個人所有のPCで利用(10.4%)」「勤務先で使っているデータを外部サイトにアップロードしておき、個人所有のPCで利用(9%)」「勤務先で使っているデータを何らかの方法で臨時に持ち出し、個人所有のPCで利用(5.8%)」といった回答もあり、「データを持ち出して個人PCで利用している。注意が必要だ」(小椋氏)

 この調査結果を見る限り、セキュリティ対策が十分行われているか、端末の利用ルールが規定されているかなど考慮しなければならないだろう。

 ネットワーク環境は75.9%が自宅の無線LANと回答し、業務内容はメール作成やスケジュール入力(78.0%)、資料作成(76.9%)、インターネットでの情報収集や調査(64.6%)が上位に並び、オンライン会議は半数程度の58.3%にとどまっている。

 テレワーク環境に対する不満点を尋ねると、「自由に印刷できない(39.6%)」が1位だったが、システムにまつわる回答に注目すると、「自宅のネットワーク環境が遅い(25.9%、2位)」「勤務先のネットワークが遅い(21.1%、6位)」とネットワークに起因する不満が目立った。

 通常業務時とテレワークによる業務時の違いを尋ねると、「通常業務時よりできないこともあるが、不便はない(41.2%)」「まったく同じ(27.3%)」「通常業務時よりできないことがあり、不便を感じる(25.5%)」と回答した。

 テレワークによる業務開始時の操作内容を尋ねると、「IDとパスワードを最初に入力(62%)」が大半を占め、ワンタイムパスワード利用は13.9%、生体認証の利用は8.8%、セキュリティキーの利用はUSBタイプが8.3%、ICカードタイプは6.7%と一様に低い。

 この結果について小椋氏は「ベーシック認証が大多数。一部は認証処理がない状態でテレワークを実施し、セキュリティリスクの高さが見て取れる」と指摘する。また、「特に操作はない(6.2%)」といった驚きの声もあった。

 また、テレワーク時に利用するシステムを尋ねると、54.4%が勤務先のファイルサーバー、36.6%が「Office 365」や「G Suite」といったSaaS、35.9%がクラウド上のファイルサーバー、35.2%が勤務先の独自システムと回答した。

 テレワークで機密情報の扱い方に変化があったか尋ねたところ、「以前と変わらない(56.5%)」が大半を占めつつも、「以前は持ち出し禁止だった情報を臨時で持ち出している(10.2%)」「以前は持ち出し禁止だった情報がテレワークでも利用できると正式に認められた(7.2%)」「以前は持ち出し禁止だった情報がテレワークでも利用できると一時的に認められた(7.2%)」といった緊急的な対応が一部回答者で見うけられる。

 機密情報の保管場所は48.6%が勤務先のファイルサーバー、44.7%がPC内と回答。セキュリティに関する不安点は「ウイルス感染被害(33.8%)」「デバイスの紛失(27.3%)」「メールの誤送信(19.7%)」が上位に並ぶが、31.9%が「特になし」と回答。この数値がセキュリティに対する無関心を表しているのか、企業のセキュリティ対策が充実しているのか見極めることは難しい。

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