解析ツールを用いたダイエットと整理の具体例
不用な贅肉を落として同じような持ち物を整理できれば、前回の健康診断内容の改善、現時点のシステム維持にかかるコストや時間の削減となり、新しいシステムも生まれやすい資産に変革できる。
調査と廃止作業に時間がかかるという問題があるが、健康診断でも用いた「X-Analysis」などのアプリケーション解析ツールを活用することで、廃止や共通化資産の特定とその影響分析を大幅に軽減できる。前段で整理した不要資産と同じような資産の例をどのように特定、廃止影響分析するか具体例を挙げる。
1:一定期間、非稼働である資産
前述の通り、非稼働資産は最終稼働日と稼働日数で特定できる。解析ツールを用いて関連オブジェクトを機械的に抽出し、そのオブジェクトが稼働オブジェクトの場合、廃止できるオブジェクトかどうかを処理フローで確認できる。
2:プログラムソースコードの中で使われていない箇所
多くのユーザーが開発標準とするサブルーティンを用いた構造化プログラミングのソースであれば、使用されていないサブルーティンを機械的に特定できる。削除できるルーティンだが、念のため処理フローからの確認もできる。
3:使用されていないファイルフィールド
解析ツールはファイルフィールドの使用に関する以下の情報を抽出できる。
- ファイルフィールドの変数や装置ファイルフィールド、パラメーターへの代入、置換情報
- 条件文、繰り返し文におけるファイルフィールドの使用情報
- アクセスパスのキーフィールド情報
- クエリオブジェクトにおけるフィールド使用情報
これらに現れないフィールドは使用されていない可能性が高く、整理できる。
4:別名で中身が同じ設定の資産
論理ファイルなど、別名で同じ設定のファイルを機械的に抽出できる。
それぞれの論理ファイルを使用しているプログラムなどのオブジェクトも特定できるため、統一にあたっての情報は時間をかけずに揃えることができる。
5:別の資産で包括できる資産
論理ファイルを包括できるキーの構成で包括できる候補を機械的に抽出できる。4と同じ手順で統一を進めることが可能である。
6:外部、内部ルーティンの構成が80%以上同じプログラム群
プログラムソース内のルーティンの構成とルーティンごとのコードステップ数と複雑度が情報化されているため、ほぼ同じ構成で各数値も一致するものは類似プログラムの候補となる。違いの部分は条件文などでコントロールできればプログラム統合が可能となる。
7:複数のプログラムで用いられている同じコーディングの内部ルーティン
6で抽出した内部ルーティンが数多くのプログラムで共通的に使用されている場合は、外部プログラムにすることで資産をスリム化できる。
8:アクセスファイル群とその処理(入出力、更新など)が一致しているプログラム
プログラムのファイルに対するCRUD(Create、Read、Update、Delete)が機械的に抽出できるため、一致するプログラムを迅速に特定できる。6の結果と併せて統一化を図れる。
9:同一ファイルに対するプログラム内部に記述されたフィールド変数
内部記述フィールドを持つプログラムとファイルの組み合わせを機械的に抽出できるため、外部記述化して統一できる。
10:複数のファイルに存在する同じ内容の関連フィールド群
フィールド情報がデータ辞書として整理されているため、冗長フィールドが効率良く洗い出しできる。
解析ツールを利用した資産のダイエット方法とその効率性をご理解いただけただろうか。
次回は、「その手があったか! オフコンのままオープン化できること」と題し、次の段階であるモダナイゼーションに話を進めたいと思う。
(第4回は3月上旬にて掲載予定)
- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。