サービスナウが自治体DXの推進施策--東広島市も行政サービスに活用

阿久津良和

2021-07-30 07:00

 ServiceNow Japanは7月29日、デジタルワークフローの基盤となる「Now Platform」で自治体のデジタル変革(DX)推進施策を説明する記者説明会を開催した。4月14日に広島県東広島市が同基盤を導入してから、同社には各自治体からの問い合わせが急増している。

左からServiceNow Japan 第一営業統括本部エンタープライズ営業本部 兼 公共・社会インフラ営業本部営業本部長 野澤さゆり氏、同社 エンタープライズ・公共・社会インフラSC本部アドバイザリー ソリューション コンサルタント 山田一也氏
左からServiceNow Japan 第一営業統括本部エンタープライズ営業本部 兼 公共・社会インフラ営業本部営業本部長 野澤さゆり氏、同社 エンタープライズ・公共・社会インフラSC本部アドバイザリー ソリューション コンサルタント 山田一也氏

 政府が決定した「デジタル・ガバメント実行計画」を背景に、総務省は2020年12月に「自治体DX推進計画」を策定し、自治体全体が足並みをそろえてDXを推進することを表明した。自治体DXについて、同社 第一営業統括本部エンタープライズ営業本部 兼 公共・社会インフラ営業本部営業本部長 野澤さゆり氏は「『仕事が増える』とネガティブに見られることも。入り口だけではなく、業務内容もデジタル化することで、非デジタルな業務や住民に寄り添える時間を生み出す」と認識を語る。

 現状、多くの自治体サービスは用途に応じて異なるシステムを用意するため、場合によっては個別にIDを取得しなければならない。同社はNow Platformが自治体サービスの基盤となることで、「ポータル機能や決済機能、本人確認機能の統一化が可能」(野澤氏)だと解説した。

 3月にバージョンアップしたNow Platformは、単一の共通データ構造や業務工程の最適化、開発環境などを備えた基盤上に、従業員エンゲージメントと生産性を向上させる「Employee Workflows」や、顧客体験を向上させる「Customer Workflows」といったワークフローを必要に応じて選択できる。さらに各種アプリケーションや基幹系システム、クラウドサービスと連携する「ハブの役割」(野澤氏)を持つ。

 同システムを導入した東広島市は、各分野の情報提供や小中学校などの情報回覧、地域のゴミ収集通知などをデジタル化。4月のサービス開始以降、登録者数は2週間で9000人を超えた。

Now Platformの概要
Now Platformの概要

 容易にデジタルワークフロー基盤を構築できる理由は「Spoke」に秘密がある。一般的なサービス/アプリケーション連携はAPI(簡潔にプログラムを記述するためのインターフェース)を用いるため、開発コストや運用時の負担が発生するが、「接続用コネクターであるSpokeを用いることで、導入時の個別開発や(接続先となるサービス/アプリケーションが)バージョンアップした際もわれわれが検証を行うため、互換性確認などの負荷軽減、最新のサービスに追従できる」(野澤氏)

 ServiceNowやISV(独立系ソフトウェアベンダー)が開発する外部連携用Spokeアプリケーションは850種類を超えた(2021年5月現在)。独自システムとの連携は別途Spokeを開発する必要があるものの、同社 エンタープライズ・公共・社会インフラSC本部アドバイザリー ソリューション コンサルタント 山田一也氏によると、CSVファイルを用いたバッチ処理型や、各社RPA(ロボティックプロセスオートメーション)製品と組み合わせることで柔軟に対応できるという。

 今後は総務省の「ぴったりサービス」や経済産業省の「GビズID」との連携、公共向けフレームワークを日本版ServiceNow Storeから提供する。

自治体ポータルサービスの運用例
自治体ポータルサービスの運用例

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